Aシードの東海大大阪仰星(大阪第2)が、4大会ぶり6度目の優勝を飾った。決勝初進出の国学院栃木を1トライに封じ込み、5トライを奪取。キック多用の堅実な試合運びで、36-5と快勝した。

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“ファン”の指摘で変わった湯浅大智監督(40)と、自立を促された選手の歯車がかみ合った。大会優勝6回は東福岡、天理(奈良)と並ぶ歴代4位。全国屈指の強豪が、強さを増して頂点に立った。

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雲ひとつない冬空に、東海大大阪仰星の雄たけびが響いた。前半6分、NO8薄田主将が「決勝は先手が大事」と相手を引きずり決めた先制トライ。12分には、15年度大会決勝で2トライを決めた兄に負けず、CTB中がインゴールに飛び込んだ。キックを多用し、国学院栃木の勢いを封じた戦術を、司令塔SO吉本は「圧力をかけるためにみんなで考えた」と明かした。

主役は選手だった。

6度目の優勝の根っこに“ファン”の声があった。「生徒は“正しく答えないと”と思ってるんじゃないですか? 答えられなくしてませんか?」-。

昨年1月の大阪新人戦。湯浅監督が「何であのプレーをした?」と問いかけると選手が黙った。学校の教諭がその場面を見て、監督に送ったメッセージ。自分の在学中から、ラグビー部を応援してくれる数学教師の一言に、ガツンと頭を殴られた。

自分よりラグビーを知らない子どもに、答えを押しつけてないか? 「間違った答えでいいのに。自分で考えた方が生徒のためになるのに」。監督は自分の傲慢(ごうまん)さを恥じた。答えの4分の3まで教える指導法を3分の2へ。選手が考える余地を広げた。

監督の変化を、選手は感じた。「湯浅先生が関わる時間は減りました。今までが10やったとすると、5か6ですね」と薄田主将。1年前の花園で東福岡と引き分け、4強を逃した。3月の選抜では準決勝でその東福岡に完敗した。日本一を狙うには「めちゃくちゃな差」「全然準備不足」と感じた選手は自分で考え、答えを求めて来た。

高校日本代表が6人もいる選手たちが自立したシーズン。試合後、誰彼構わず握手し合う教え子の姿を見て、湯浅監督は「本当によくやってくれて…」と泣いた。【加藤裕一】

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