92年バルセロナ五輪(オリンピック)男子71キロ級の金メダリストで、昨年3月に亡くなった古賀稔彦さんの次男、玄暉(22=旭化成)が大会2連覇を飾った。

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今年は特段の価値があった。決勝で対戦したのは、昨夏の東京五輪で金メダルを獲得した高藤直寿(28=パーク24)。大方の予想は五輪王者の優勝という中、開始2分1秒で試合を決めた。出足払い。見事に決まって一本勝ちを収めると、天に向かって雄たけびを上げた。

「ここで勝たないと、次の大会につながらないなと思ったので。パリ五輪へ行くために、ここで何としても優勝したかった。高藤選手とは(公式戦で)初めて戦って。(組手が)けんか四つの相手に対しての練習を徹底的にやってきた。旭化成の先輩の(東京五輪の金メダリスト)大野将平さんや永瀬貴規さんからも教わってきたものを出せた」

偉大な父が53歳の若さで亡くなったのが、昨年3月24日。今大会の直前に一周忌を迎え、誓ってきた。

「何か、早かったなと。自分自身、今大会に向けてやってきて、父なら何て言ってくれるだろうと。でもやることは変わらない。いただいていたLINEの文言を見返して、戦い方の気持ちを見直して、力に変えて戦いました。『最後まで指導1つだったり、技ありを取っても守らずに、最後まで気を抜かずに攻めろ』という内容でした」

尊敬する父の6連覇に少し近づく2連覇で成長を示した。【木下淳】