大型WTBの対決が観客の視線をくぎ付けにした。
主役の1人はコベルコ神戸スティーラーズの右WTBアタアタ・モエアキオラ(26)。トンガ出身。東京・目黒学院高から東海大に進み、19年W杯日本代表にも選ばれたモエアキオラは186センチ、108キロある。
対するは埼玉パナソニックワイルドナイツの左WTBマリカ・コロインベテ(29)。オーストラリア代表42キャップを誇るコロインベテは182センチ、96キロ。
FWでなく、大外で体の強さを武器にトライを取る2人がマッチアップした。
最大の見せ場は前半35分。相手のゴールラインドロップアウトから中盤でボールを受けたモエアキオラが、前へと突進した。待ち受けるはコロインベテ。互いの左半身がぶつかり合い、鈍い音が鳴ると、モエアキオラがはじき飛ばされた。
やっぱり強かった-。
その後のプレーで埼玉に反則があり、今度は神戸ボールのスクラムで再開となった。モエアキオラはその間、膝に手をつき、ようやく立ち上がった。
痛みはあるはずだが、これで終わらなかった。
FW同士が中央右寄りの位置でスクラムを組み、神戸は右サイドにモエアキオラ1人。守る埼玉もコロインベテ1人が立っていた。
スクラムからの攻撃は右サイド。再びモエアキオラがボールを持った。
相手は1人。コロインベテがスルスルと前に出た。
今度は左半身で当たるモエアキオラの懐を目がけ、コロインベテが右肩を当ててきた。誰にも邪魔されない1対1。モエアキオラはそれを引きずるように前に出た。コロインベテも両サイドにスペースがある状況で体を張って対処し、決定的な仕事をさせなかった。
19年W杯日本大会では日本代表登録メンバー入りを果たすも、出場はゼロ。将来を期待されるモエアキオラは、試合後に言った。
「相手は世界トップレベルのWTB。自分の強みであるフィジカルで世界と戦うため、成長するためにチャレンジしようと思った。(スクラムからの攻撃は)相手が1人だったら、自分がチャレンジするとチーム(の戦術)で決まっていた。自分も、もっといきたい気持ちがありました」
体を当てて、実感した。
「さすが世界レベルのWTBでした。『もっとパワーアップしないといけない』と思いました」
一方のコロインベテも、モエアキオラの潜在能力を認めた。
「非常に体も大きくてパワフルな選手。私もベストを尽くすことが、チームのためになると思いました」
互いに最終目的には勝利がある。その明暗こそ分かれたが、大型WTB同士のバトルが見る者を魅了した。【松本航】


