前々回優勝、前回準優勝の羽賀龍之介(31=旭化成)が3回戦で敗れる波乱があった。

一色勇輝(日本中央競馬会)を相手に指導3の反則負け。なかなか仕掛けることができず「結果が全て。よく研究されていた。それを上回るほどの技術、気力が足りなかった。だから最後、あのような指導になった」と潔く敗戦を認めた。

一方、初戦の2回戦では最重量級のホープ、中野寛太(天理大)に送り襟絞めで一本勝ち。鮮やかだったが「今までの経験で、とっさに出ただけ。最初から最後まで中野選手に試合をコントロールされていた。負け試合なんで話にならない」と自分に厳しかった。

前日28日に31歳の誕生日を迎えた。その31年前には父の善夫さんも全日本選手権に出場していた。「父も見に来ていたんですけど、感慨深い。受け継ぐことができているなと思う」。ただ「勝負がこの結果だと…」と悔しさも増した。

16年リオデジャネイロ五輪100キロ級の銅メダリスト。五輪2連覇の大野将平(旭化成)が常々「同期の羽賀から刺激をもらっている」と話すなど、まだまだ成長が止まっていない。

「同期で今も(第一線で)やっているのは-大野将平と橋本壮市(パーク24)くらいで。同じ年代で小中高とずっと一緒だったし、今日に関しても大野の戦いだったり、稽古中の雰囲気だったりに刺激を受けている。今日の試合内容じゃ…と思うけど、彼らからは大きなエネルギーをもらってるし、僕も与えられたら」

「100キロ級の自分でも超級とは体格差がある。大野、高藤(直寿)や向(翔一郎)にとって、リスクある大会だとは思う。一発でけがするかもしれないし。その中で挑戦する意味は大きい。試合をしながら大きな刺激をもらったし、自分は戦って試合に出るだけではいけないけれど、彼らの戦いから勇気をもらった。もうちょっと上まで行ければ良かったけど、僕たち選手が伝統も作り上げていきたい」

今月3日の全日本選抜体重別は100キロ級で優勝。杭州アジア大会(9月)の補欠にも選ばれた。

「今後については出てこなくて。すみません」と言いながら「自分を見つめ直して、どうしていけばいいか。自分に問いかけてやっていければまた覚悟が決まれば」

全日本選手権では3年連続の決勝進出を逃したが、再び国際大会の第一線にカムバックしても戦える実力は健在だ。【木下淳】