新型コロナウイルス禍をへて3年ぶりに開幕し、フィギュアスケート男子の羽生結弦(27=ANA)が96日ぶりの演技を披露した。

最後は「ありがとうございました~!」と叫び、右の拳を突き上げた。

4都市12公演のトップを切る幕張公演のフィナーレで演じたのは、シンガー・ソングライター広瀬香美の代表曲「ロマンスの神様」だった。ソロのTシャツに首にはカラフルなスカーフで全出演者と統一。息の合ったプログラムも演じ、グループの先頭、中心で滑った“主演”スケーターとして大団円に導いた。

締めのグランドフィナーレでは、間隔こそ試合よりは空けたものの、ショーとは思えない4回転トーループとトリプルアクセル(3回転半)の連続ジャンプを美しく決めた。

フィナーレの1つ前の演目となる大トリでは、スガシカオの生歌による「Real Face」を、公演のオープニングでは同じくスガの「午後のパレード」を舞い踊り、氷の会場を埋めたファンを温めた。

前人未到のクワッドアクセル(4回転半)が世界初認定された2月の北京オリンピック(五輪)エキシビション以来となる公の氷。この日を皮切りに幕張では29日まで出演し、名古屋(6月3~5日)神戸(同17~19日)静岡(同24~26日)と続く全てのショーに出る予定だ。

北京五輪の男子フリー前日(2月9日)に負った右足首捻挫からの病み上がりだったものの、不安を健全な形でツアーをスタートした。【木下淳】