2030年の冬季オリンピック(五輪)・パラリンピック招致を目指している札幌市が5日、秋元克広市長の国際オリンピック委員会(IOC)本部訪問を取りやめると発表したことを受け、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(65)が同日、都内で取材に応じた。

秋元市長は今月中旬にスイス・ローザンヌを訪ね、招致への意欲や現状をアピールつもりだったが、IOC委員も兼ねる山下会長が「定例会見の後、私とIOCで先週末に話をした際、日程調整がつかないということで『お互い今回はなしにしよう』となった」と日程都合を強調した。

自身も同行する予定と報告した先月30日のJOC会長定例会見では「秋元市長から、今年の9月に札幌市と(ドイツ)ミュンヘン市の姉妹都市が50周年を迎えるに当たり、その前にIOCを訪問したいと意向を伝えられた。私も訪問する方向だが、どのような方と面会するかを含めて調整中。そこで札幌市の状況を聞かれれば説明することもあるかもしれない」と明らかにしていた。

その6日後の断念。東京五輪・パラリンピック組織委員会の元理事、高橋治之容疑者らが逮捕された一連の汚職事件の影響か問われると「当然、気にはなっています。ただ、今回の判断は日程の調整がつかなかったということ」と重ね、IOCとの間では「東京2020の問題であり、札幌2030の招致とは違うだろうという認識」になっていると説明した。

日程を再調整するのか問われると「今後、詰めていきたい」としつつ「現時点ではお話しできることが何もない」とした。

秋元市長は今月14~17日に姉妹都市50周年の祝賀でミュンヘン出張。その前にIOC本部でトーマス・バッハ会長との会談を希望していたが、山下会長は「相手のあることなので、誰と会う予定だったかコメントできない」と話すにとどめた。【木下淳】