国枝カップ、できるか!? 男子世界ツアー公式戦の楽天ジャパンオープンと同時開催で行われる車いすテニスの部で、東京パラリンピック男子シングルス金メダルの国枝慎吾(38=ユニクロ)が、1ゲームも与えない完封発進だ。世界74位の城(たち)智哉(20)に6-0、6-0と、わずか40分、総得点58点中9点しか失わない完勝だった。

今大会は、国枝のアイデアで生まれ、国枝自身が選手集めに奔走し、19年から始まった。4大大会は一般テニスと同時開催だが、ツアー大会と車いすテニス大会の同時開催は非常に少ない。「それが、車いすのトップ選手が最も望んでいること」。

20、21年は新型コロナウイルスの感染拡大で中止を余儀なくされ、ツアー大会同様、3年ぶりの開催となった。「クオリティーの高いものを見せたい」。今大会も世界のトップ選手に出場を打診し、数人に承諾をもらったが、査証の関係で残念ながら訪日は至らなかった。

国枝は、現役続行の意思を表明しているが、ゆくゆくは国内での車いすテニスの普及にも手を貸したいところだ。「今大会も、もう少しレベルを上げて開催したい」。現在、国際テニス連盟公認のレベルは、上から4番目のITF-2。「できればスーパーに」。4大大会に次ぐスーパーシリーズまで格上げしたい気持ちが強い。

4月に、車いすテニスだけのジャパンオープンがある。20~22年はコロナ禍で中止となったが、日本で唯一のスーパーシリーズだ。今大会がスーパーシリーズになれば、同じ大会名ではなく、その時は、まさに「楽天ジャパンオープン国枝カップ」の誕生だ。

21年東京パラリンピックは無観客で、国枝が、国内で観客の前でプレーするのは、19年のこの大会以来。この日は、降雨で室内コートに移動し、観客は見ることができなかった。しかし、決勝戦は開閉式屋根付きのセンターコート。雨が降っても無関係で、必ず観客の前で最高のプレーが披露できる。【吉松忠弘】

◆楽天ジャパンオープンは、10月3日から9日まで、WOWOWで全日生中継。WOWOWオンデマンドでも同時ライブ配信される。