ショートプログラム(SP)2位の三原舞依(23=シスメックス)が逆転優勝した。

フリー130・56点の合計204・14点とし、SP首位ルナ・ヘンドリックス(ベルギー)を上回った。

第4戦の英国大会に続いて2連勝。トップ通過で初のファイナル(12月8日開幕、イタリア・トリノ)進出を決めた。

「今日のフリーは悔しい部分がたくさんあるんですけど、まずはファイナルに行けるということ、すごくうれしいことですし、課題を克服して、もっとレベルアップした姿で演技ができるように、もっと強くなりたいなと思います」

冒頭のダブルアクセル(2回転半)からジャンプを決めていく。3回転ルッツからの3連続と2連続など成功。フリップだけが1回転となったものの、最後まで「恋は魔術師」を演じ抜き、ヘンドリックスとの1・30点差をひっくり返した。

今大会はグレアム充子コーチと参戦した。

「お手々がすごく冷たくて(笑い)。フィンランドは日本よりすごく寒くて、私はカイロを握りしめていました。中野(園子)先生の手はいつも温かいんですけど、グレアム先生はすごく冷たくなっていて、でもすごく強く背中をたたいてくれたので活が入りましたし、元気に送り出してくださったので、感謝の思いでいっぱいです。でも、すごく冷たかったので、あとでカイロを渡したいなと思います」

なごやかだったメダリスト会見の一方で、手応えと課題は十分に感じ取れた。今季は、これまで届かなかったGP優勝に英国大会で到達。さらに今大会で2連勝とし、初のファイナルへ自分史を塗り替えた。

その価値について問われると、喜びよりも向上心を口にした。

「中野先生からも『おめでとう』とご連絡をいただけたんですけど、今日のフリーの悔しさの方が頭の中の大半を占めているので。今後の自信にもつなげたいと思ってはいますけど、ファイナルではもっとレベルを上げたプログラムをしたい。今日の悔しさを、ファイナルのショートとフリーを終えるまで持ったまま滑れたらいいなと思います」

そのファイナルの舞台は、三原にとって15年のジュニア以来7年ぶりとなる。「まだファイナルに行ける実感が湧かないというか。本当に数億年前くらいのイメージがあって。でもチャンスをいただけたので、もっともっとレベルアップしてスケートしたい」とモチベーションを高めた。

これで年末の全日本選手権(12月21~25日、大阪・東和薬品RACTABドーム)まで短い間隔での4試合となる。「未知の領域です、正直」としながらも、充実感が上回る。

「でも海外に行くことも旅として、違うところに行くこと、すごい好きなことではあるので。1回1回、かけがえのない経験。休養シーズンはそんなことも考えられず、うれしくて、ありがたいことです。たとえコンディションがつらくても、いただけたチャンスはうれしいこと。どんな時も感謝の気持ちを持って(試合に出れば)きっと元気になれるはずなので、この先いろんなことがあっても、レベルアップしていきたいなと思っています」

【松本航】