ペア結成1季目にしてジュニアグランプリ(GP)ファイナル4位の新星「はるすみ」こと村上遥奈(はるな=14)森口澄士(すみただ=20)組(木下アカデミー)が全日本デビューした。

「りくりゅう」ことGPファイナル優勝の三浦璃来(21)木原龍一(30)組(木下アカデミー)が帰国トラブルで欠場した中、飛び級で唯一の出場。非公認ながら自己ベストの54・21点をマークした。ともに男女シングル選手としても国内最高峰の大会に参戦しており、次代を担う「二刀流」が歴史的な日を迎えた。 中学2年の村上、大学3年の森口が組む「はるすみ」が沸かせた。ツイストリフトから3回転ルッツ、スロー2回転フリップなど次々着氷。場内の拍手を“2人占め”し、ステップでは最高評価のレベル4を獲得した。「大舞台で大きなミスなく滑り切れてうれしい」と声もそろう。スコアを聞くと笑顔でガッツポーズだ。国際スケート連盟(ISU)非公認の国内大会ながら、公認の自己最高47・94点を6・27点上回った。

ともにシングルにも出場する二刀流だ。村上は前日の女子SPで15位。この日も午前7時25分からペア、午後1時から女子の練習に出て、終了2時間後の3時半からペア本番を迎えた。

森口も早朝のペア、朝9時55分からの男子練習に参加。ペアの公式戦で村上を担ぎ上げ、控室で体が硬くならぬよう冷まさぬよう努めて夜7時48分から男子SPに出た。100点超の宇野の次の出番でも動じず、トリプルアクセル(3回転半)成功を含むノーミスで堂々の10位。「去年は羽生選手、宇野選手と同組で最高の経験。4つ(男子とペアのSPとフリー)滑る今年も最高。楽しみでしかなかった」と挑戦を喜んだ。

世界トップの「りくりゅう」三浦、木原組が航空機遅延とロストバゲージで欠場した中、歴史に名を刻んだ。2人と練習した機会もあり、村上は「憧れ。演技を見て学ぼうと楽しみにしていたので残念」と悲しんだが、伝授された技術は心身が覚えていた。森口は「龍一君から『ツイストは爆発力が大事だ』と言われて今日も意識したら、練習でも出たことのない高さになった」と自分でも驚いた。

「ジャンプが得意」と村上が語るように、ペアでは少ない3回転ルッツを操れる技術も二刀流の利点だ。りくりゅうのようにシングルからの転向はあるが、兼任は異例。25日のフリーも全うすれば初優勝となる。森口は「フリーもいい演技をして2人に褒めてもらいたい」と言い、その4時間後に男子SPでトップ10。新時代の実績を残し、翌々日には再び男子とフリーの2種目に出る。【木下淳】

◆村上遥奈(むらかみ・はるな)2008年(平20)7月30日、オーストラリア・パース生まれ。8歳の時に浜田美栄コーチのもとで練習し、そのまま門下生に。シングルでは全日本ジュニア選手権8位で推薦選手となる。趣味はメークと食べ歩き。156センチ。

◆森口澄士(もりぐち・すみただ)2001年(平13)12月29日、京都府生まれ。20年からペアに挑戦。シングルでは同年全日本選手権12位、21年は13位。趣味は音楽鑑賞。174センチ。