愛称「みまひな」の伊藤美誠(22=スターツ)、早田ひな(22=日本生命)組が史上初の5連覇を達成した。決勝で成本綾海、井絢乃組(中国電力)を3-0で退け、ペアで大会25連勝。世界選手権(5月、南アフリカ・ダーバン)で日本女子ダブルス56年ぶりの金メダルを目指す。

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5連覇の余韻をかみしめ、伊藤が笑った。6回戦敗退でシングルス2連覇を逃してから丸1日。会見で隣に同い年の早田が座った。

伊藤 「混合ダブルスでも早田選手と組んだ方が強い」と思うぐらい、心の余裕があって実力が出せる。東京(五輪)で水谷(隼)選手と組んでいる時も「代わって~」「組みたい~」って言っていたぐらい…。

1年半前の夏、同じ東京体育館で水谷さんと混合ダブルス金メダルをつかんだ。同じ静岡・磐田市生まれの先輩と早田をいたずらっぽく比較した。決勝戦。11-7、11-7で迎えた第3ゲームは7-8となった。そこから早田がサーブで相手のレシーブミスを誘って同点。早田のフォアで勝ち越し、伊藤のレシーブ、しゃがみながらのスマッシュと4連続得点で締めた。早田は「久々に組んでも『これができるようになっている』とか、ひらめき、自分たちの強さ…。いろいろな発見ができた」とハイタッチで喜びを分かち合った。

ライバル関係からは逃げられない。24年パリ五輪に向け、選考ポイント上位2人入りを目指すシングルス。これまでの選考会でも真っ向勝負を繰り広げてきた。日常的にダブルスの練習を積むわけでもない。だが、ひとたび組めば伊藤が多彩なサーブで窮地を救い、早田が失点覚悟の場面で拾う。伊藤は「自分たちですけれど『このペアすごいな』と思う。シングルスで培った力が1人+1人じゃなく、倍、倍、倍になる」と強い信頼関係を表現した。

互いにまだ22歳。早田は今後について「ずっと出続けたい。(目標は)10連覇でも…」と見据えた。5月には世界選手権がやってくる。4年前、日本人同士のペアで48年ぶりの決勝に進んだ大舞台が次の照準だ。

伊藤 ダブルスの最終目標は、世界選手権で金メダルを取ること。そこまでに仕上げて、世界選手権を楽しみにしたいと思います。

肩肘張らずに笑い、支え合う。自然体が世界一を目指す原動力だ。【松本航】