花園近鉄ライナーズでオーストラリア代表110キャップを持つSHウィル・ゲニア(35)が、低迷するチームに警笛を鳴らした。

前節まで10位の静岡ブルーレヴズとの「下位対決」にも敗れ、開幕から7戦全敗。19年から花園に在籍するゲニアは、チーム内にある「甘さ」を厳しく指摘した。

「2部リーグで4シーズンもやってきたから、ぬるま湯に慣れてしまっている。上のレベルでやるだけの努力が足りているのか。本当にイライラする。(個人的には)準備を怠らないようにして、ここまで来ることができた。それ(準備)ができない選手に対しては、(個人的に)言わざるを得ない」

この日の静岡戦も後半途中までは3点差で食らいつくも、終盤に3連続トライを許して差を広げられた。守備の甘さとともに、チャンスでトライが取れない。攻守ともに課題は多い。

「個人のミスが原因だ。いいディフェンスで取り返しても(ゴール前の)ラインアウトで仕留めきれなかったり。守備の時間が長くなることで、体力が削られてミスで終わってしまっている」

ただ、悲観してばかりではない。ゲニアがスーパーラグビーのレッズに所属した時にも、同じような経験を味わっている。

「レッズでは(07~09年まで)2~3シーズン、今と同じように1勝もできないのではないか、ということがあった。その経験があるからこそ、こういう状況を楽しめる性格にもなっている。いかに克服をするかを考えるのが好きだ。レッズはそういうシーズンを乗り越えて優勝を勝ち取った。個人が本気で変わろうとすれば、いずれチームは変わる」

当時、どん底の状況にいたレッズの主将に就任すると、チームに危機感を植えつけて11年に初優勝を達成している。そんな過去があるからこそ、諦めてはいない。

「全ては選手の責任だ。どれだけ自分が良くなりたいと思うか。それが大事だ」

花園は次節(18日)、アウェーで7戦全勝で首位を走る埼玉(パナソニック)と対戦。長いトンネルから抜け出せずにいるチームにとっては、厳しい戦いが続く。

ただ、百戦錬磨の世界的なSHは真剣に低迷するチームを変えようとしている。【益子浩一】