全日本選手権3冠の早田ひな(22=日本生命)が貫禄の優勝を飾った。決勝は14歳の張本美和(木下アカデミー)の挑戦を4-2で退けた。立ち上がりの第1ゲームを落としたが、「(想像よりボールが)1個多く返ってくるようになった」(張本)と浮足立つことなく、緩急をつけて対応。「1回負けただけで『弱くなった』と評価される位置。乗り越えたら、その先に違う強さがある」と結果で力を示し、独走する選考レースは2位平野に125・5点差をつけた。

補欠だった21年東京五輪後は、テニス史に残る名選手フェデラー(スイス)の動きを研究して卓球につなげている。プレーだけでなく賞金を寄付するなど、その人間性にもひかれ「アスリートは強いだけが全てじゃない。石川(佳純)選手も引退し、卓球界を引っ張っていかないといけない」と言い切った。今月下旬には世界選手権を控える。日本を引っ張る22歳の女王は「今日でそれ(優勝)は終わり。また違う気持ちで向かいたい」と早くもスイッチを切り替えた。

 

▽パリ五輪選考ポイント上位(女子)

(1)早田ひな(日本生命)332・5点

(2)平野美宇(木下グループ)207点

(3)木原美悠(木下グループ)182点

(4)佐藤瞳(ミキハウス)175点

(5)張本美和(木下アカデミー)160・5点

(6)長崎美柚(木下グループ)158点

(7)伊藤美誠(スターツ)155・5点

 

◆パリ五輪への道 シングルスの代表枠は男女それぞれ2。来年1月開催予定の全日本選手権まで計6度の国内選考会と世界選手権、アジア大会などが選考対象となり、最終獲得ポイントの男女上位2人が選出される。後半の1年はポイントが高く、今回の全農カップは優勝100点、準優勝90点、3位80点、4位70点…となる。今月の世界選手権は優勝200点、準優勝160点、4強120点、8強80点…に設定されている。団体戦出場枠を獲得できた場合の残り1人の代表はシングルスで選出した2人とダブルスが組め、団体戦での活躍が期待できる選手に決定する。