シニア転向1年目の片伊勢武アミン(19=関西大)が、新たな世界観の表現に燃えている。
SP(ショートプログラム)を72・76点の4位で終え「今までとは違ったプログラムをしたかった。大人っぽい魅力を出せるようにした」と新プログラムへの思いを口にした。
今季は「Adios Nonino」を舞う。新境地となるタンゴの楽曲にあわせ、冒頭のトリプルアクセル(3回転半)に成功。続くルッツ-トーループの連続3回転ジャンプは回転不足となり、3本目の3回転フリップは転倒となったが、滑りに集中し続けた。
「今まで何でもきれいにやることだけを意識していたが、悪い部分や強さ、荒さと、違った一面を見せられたら」
柔らかさに力強さを加えた演技に重きを置き、滑りきった。
振付は「初めての挑戦だったので苦戦した」というが、細かな所作にも意識を傾けながら、イメージと動きとをすり合わせてきた。「振付師の方が細かくもっとこういう風にとイメージを分かりやすく伝えてくださった。そこをまねしながらじゃないですけど、一番できることと思ってやってきた」とこれまでの日々を振り返った。
ただ、ジャンプのミスには悔恨が残った。「最後は普段しないようなミス。悔しい気持ちでいっぱい」。その思いを胸に、翌10月1日のフリーで巻き返しを図る。
「試合をあまり意識せず、集中だけするようにして、自分にプレッシャー与えないようにしたい。悔しさを払拭(ふっしょく)して、すっきりとした気持ちでやりたい」
気負うことなく、磨いてきた表現力を発揮する。