バレーボール女子日本代表チーム帯同広報がお届けする「女子日本代表広報リポート」の第8回。坂本藍風広報が、ネーションズリーグ(VNL)から世界選手権まで代表チームに密着。舞台裏や秘話を交えながら、選手情報やトピックを不定期連載でお届けします。
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8月22日から9月7日まで行われた世界選手権で4強入りを果たした女子日本代表。今回は、同大会を振り返ります。
最後の国内合宿は8月19日に終了。5月からの代表期間中、国内合宿時に利用していた体育館の清掃や整理を全員で行い、決戦の地タイに向けて出発しました。
20日に到着。翌日から23日に初戦を迎える1次リーグ(L)に向けて、試合コートでの練習や対策ミーティングを開始しました。世界選手権の1次リーグはH組でカメルーン、ウクライナ、セルビアと対戦。各組上位2チームが決勝トーナメント(T)に進出できます。
初戦のカメルーン戦。メンバーは秋本美空選手、北窓絢音選手、石川真佑選手、山田二千華選手、荒木彩花選手、関菜々巳選手、小島満菜美選手とVNLからがらりと代えて挑みました。
立ち上がりから押される展開になりますが、悪い流れを断ち切ったのはキャプテン石川真佑選手でした。サービスエースで流れをつかみ、一気に日本のペースに。そのまま試合は進み3-0のストレートで勝利を収めました。
スタメン出場した秋本選手に話を聞くと「自分たちのミスから相手にリードされるということが3セット全てであったと思うので、それは改善しなければいけない。それでも中盤から後半にかけて自分たちが点数を取って、最後に勝ち切ることができたのでそこは良かったと思う」と振り返りました。
翌日の練習前、石川選手が選手たちを集めるシーンも見受けられました。「昨日の初戦は自分も含めてクオリティーがあまり良くなかった。明日からの試合も大事になってくると思うので、コートに入っている、入っていない関係なく、それぞれが自分のやるべきことや目標を確認して、何をするべきかをまた1人1人が考えて、明日に向けて質の高い練習ができればと思う。全員で意識していきましょう」と改めて選手たちに伝えました。
その後のボール練習はそれぞれが自身のするべきことを再認識し、ウクライナ戦に向けて集中して準備を行いました。
25日のウクライナ戦当日、試合前のロッカールームではペットボトルにイラストやメッセージ書きをする選手たち。すっかり恒例となっているイベントで、オンとオフの切り替えを感じました。
試合はいきなり2セットを落とすという場面から粘り強く戦い抜き、フルセットの末に逆転勝利を果たしました。2セット目から出場した小島選手は「こういう苦しい試合を取り切ってこそ、自分たちがより成長出来る機会だと思うので、そこは1セット取られた時も2セット取られた時もずっと言い続けていたのでそこが良かったかなと思う」と笑顔。攻撃の軸となった佐藤選手は「しんどい展開ではあったけれど、チームがこの大会期間で1つになるきっかけが作れた試合だったと思う」と次に気持ちを向けていました。
中1日ずつ空く1次Lは、27日のセルビア戦が最後。その試合前のミーティングで、アクバシュ監督からは「サーブでしっかり攻めて良いパスを返して多彩なコンビを展開して、ミドルもしっかり点をとりにいきましょう」という言葉がかけられました。
試合は、サーブで崩す日本らしい展開。ミドル陣もスパイクを多く決める多彩な攻撃で攻め、3-1で勝利しました。1次L全勝で終え、H組1位通過を決めました。
決勝T初戦の相手は開催国のタイ。1次Lでは多くのタイの方々が日本戦を応援してくれていたこともあり満席でした。この日はアウェーでしたが、ブーイングなどは一切なくただバレーボールを純粋に楽しんでいるような温かい雰囲気がありました。そんな中、全員バレーで戦い抜いた日本がストレート勝ち。
石川選手は「しっかり踏ん張りながら勝つことができて良かった。アウェーだと感じる場面もありましたが、日本を応援してくれるファンの方もたくさんいたし、声援だと思って戦った。オランダ戦に向けて、もう一段階ギアを上げて戦いたい」と次の試合に向けて意気込みました。
準々決勝のオランダ戦まで4日という時間が確保出来たことで、1日のオフを設けられるようになりました。選手たちはおのおので過ごし、タイパンツなどを買って楽しんだ選手たちもいました。
翌日はウエートなどで調整を行い、15年ぶりのベスト4進出を目指しオランダ戦に挑みます。「コート上で日本の良さを出して歴史に名前を刻みましょう」とアクバシュ監督。士気高く臨んだ選手たちは、フルセットにもつれ込んだ試合をしっかりともぎ取りました。
選手たちの顔は、今までに見た笑顔の中で一番光り輝いているように見えました。
今大会アウトサイドヒッター登録としてリリーフサーバーで出場し、サーブで貢献してきた岩沢選手は「自分たちの流れに持って来られずに苦しい時間も長かったけれど、5セット目になってしっかり自分たちのプレーで勝ちきれたので次に繋がる試合になったと思う。アクバシュ監督も『毎試合楽しんで』と言ってくれるので、自分もそれを一番に考えてコートに立っているので自分自身楽しもうと思っています」と振り返りました。
コートの中でもベンチにいても、全員が試合を楽しんでいる、楽しもうとする姿を改めて感じることができました。
ここまで1度も負けなしで戦い抜いて来た日本チーム。決勝進出をかけて挑む大一番はトルコとの対戦です。
しっかりと対策して挑んだ準決勝。何度もジュースに持ち込んで耐えていた日本でしたが、連続ポイントを取りきれず、悔しい結果で終わりました。
今大会初めて選手たちの涙を見た瞬間となりました。悔し涙を流した佐藤選手は「2セット目以降相手に自分たちの存在を消されるようなプレーをずっとされて、ストレスのかかる試合だった。こういう試合をしっかり勝ち切ることが大切だと思うし、すごく悔しいけど明日まだあるのでしっかり切り替えて頑張りたい。このメンバーで戦う最後になるかもしれないので、勝ち切って終わりたいと思う。相手はまだわからないですけど、自分たちの今シーズンの集大成を出せるように頑張りたいと思います」と前を向きました。
トルコ戦が終わって24時間もたたずに行われた3位決定戦ブラジル戦。
今年のVNLや2年前の世界選手権でも敗れた因縁の相手です。1、2セットは大きな点差で落としてしまったものの、3セット目からは日本のペースで攻めることができ、フルセットに持ち込みました。5セット目もジュースの激闘に突入。何度も食らいつきましたが、あと1点が取りきれず、16-18で敗戦となりました。
出場機会が少ない中でしっかりとゲームチェンジャーとして試合に入った中川つかさ選手は「今シーズンの私の役割は流れをよりよくすることだったので、最後その出番が来たと思って私に出来ることを出し切ろうと思ってコートに立った。私たちが狙っていたのはメダルだったので、取れなかったことは悔しい。次に繋がる試合にもなったというのは今負けたから言えることかもしれないですし、やっぱり勝ちたかった」と話してくれました。
20日間に及ぶ怒濤(どとう)の世界選手権は、4位という結果で幕を閉じました。日本らしく全員で走り抜けた大会でした。日に日に増えていく観客の数、盛り上がる声援。見ている人がさらにバレーボールを好きになる、日本代表はそんな感動の瞬間をたくさん与えてくれました。
コートに立つ選手たちだけでなく、ベンチのメンバーたちも楽しみながらプレーする。全てが絡み合って作り出す日本チームの雰囲気が、今の女子バレーの人気に繋がったのではないかと思います。
今までたくさんの応援、本当にありがとうございました。
◆坂本藍風(さかもと・あいか)1999年(平11)11月8日、東京都西東京市生まれ。小学生からテニスを始め、高校ではサッカー部のマネジャーを経験。現在は番組制作会社に勤務。現在日本バレーボール協会広報チーム撮影班として女子日本代表チームに帯同し、選手たちの日々の様子を撮影中。


