米国人のデービッド・ホッブス新監督を迎えたバスケットボールの男子日本代表が、ドタバタ始動した。9日、都内で代表候補の合宿が始まったが、練習開始前に日本リーグ得点王の川村卓也(22=リンク栃木)が、NBA入りを目指して渡米するとの理由で参加を辞退。「寝耳に水」の代表首脳らが説得したが、川村は意思を貫き、日本協会は最終的に辞退を認めた。

 川村は練習開始の2時間前に行われた会見に出席し「頑張ります」と抱負まで語っていたが、その直後、所属先のリンク栃木を通じて倉石強化部長に辞退を申し入れた。NBAでスカウト経験を持つホッブス監督が「シュートスキルはNBA選手よりいいものを持っているが、フィジカルを鍛えないと無理だ」と、約1時間かけて説得したが、川村は「日本にいるとぬるま湯に漬かってしまう」と主張。すでに代理人と契約し、11日に渡米予定と話がまとまっていたこともあって、協会は挑戦が一段落したら日本代表へ戻ることを確認し、辞退を認めた。

 代表は来年の世界選手権出場(トルコ)を目指し、代表候補は北京五輪出場をかけた07年8月のアジア選手権以来の招集だった。川村の挑戦は希望も膨らむが、再起をかける代表にとっては前途多難な船出となってしまった。【広重竜太郎】