全国の刑務所における大相撲中継の視聴実態が11日、明らかになった。日刊スポーツが網走、福島、府中、横浜、大阪、広島、福岡の各刑務所の担当者に聞き取り調査を行ったところ、本場所中はすべての刑務所が大相撲をテレビ観戦していることが判明。スポーツの中でも、大相撲は突出して注目されていた。

 ほとんどの刑務所では、午後7時からがテレビ視聴の時間だが、相撲中継に限っては午後5時台から6時まで「特別枠」として許されている。広島の担当者は「白黒テレビのころから伝統的に見ている」と証言。網走の担当者は「昔は北海道も巨人一色だった。でも今は、野球中継があまりない。相撲は放送自体も特別扱いだ」と話した。

 なぜ、相撲なのか。福岡では受刑者に嗜好(しこう)調査も行っている。担当者は「昔から、国民的によく見ていたという流れもある」とし、「国技だからでしょうか」との声が各地から上がった。同時にすべての刑務所が、今後も大相撲中継の視聴を継続する方針を示した。

 日本相撲協会では、暴力団関係者の観戦を認めていない。一方、暴力団関係者がテレビに映る席に座ろうとするのは、放送を通じて、服役中の組長らを励ます目的があるからだとされる。日本最大の府中刑務所の担当者は「ウチはアナログ放送だし、画面も小さいから、クリアに見えない。その話は、1人歩きしているのではないか」と指摘した。注目度が高いからこそ、協会側は対応に頭を悩ませている。