大相撲の三役格行司・木村正直(まさなお=朝日山)の山内幸久(やまうち・ゆきひさ)さんが29日午前1時52分、都内の病院で肝細胞がんのため死去した。59歳だった。10年秋場所からがん治療のため3場所連続で休場。復帰後も「土俵の上で死ねれば本望」と体の限界まで行司人生を歩んだ。だが、昨年九州場所10日目から再発を理由に休場し、初場所も全休していた。

 昨年九州場所では「ドクターストップがかかった。このままでは、命と引き換えになっちゃうよと言われた。10代で入門して、60歳近くまで、好きな行司を四十何年やってきた。急にダメと言われてもね…」と無念そうに話していた。

 葬儀・告別式は来月6日午前11時から東京都港区芝公園4の7の35、増上寺光摂殿で。葬儀委員長は朝日山親方(元大関大受)。喪主は妻禎子(ていこ)さん。甲高く、ややしゃがれた声が特徴的でファンも多かった。

 ◆木村正直(きむら・まさなお)本名・山内幸久。1953年(昭28)8月3日、岐阜県多治見市生まれ。69年夏場所に木村幸久の名で初土俵。71年名古屋場所から木村正義を襲名した。84年春場所から現名となり、90年に十両格、03年幕内格、08年には三役格に昇進。血液型B。