東前頭3枚目の遠藤(24=追手風)がライバル逸ノ城を撃破し、人気復活の角界を勢いづける。大相撲初場所(両国国技館)が今日11日、初日を迎える。三役昇進を目指す遠藤は10日、埼玉・草加市の部屋で最終調整した。大入り確実な初日の逸ノ城戦には、初日の関脇以下対決としては、平成以降最多21本の懸賞が懸かった。「若貴超え」を実現し、満員のファンの前で白星をつかみにかかる。

 遠藤は早くも臨戦態勢に入っていた。四股、すり足を入念にこなし、ぶつかり稽古で若い衆に胸を出し、前日の稽古を終えた。昨年、ともに大相撲人気を支えたライバルとの対決を問われると「上位と当たる番付の位置にいるので、どうもこうもない」。本番に向け、ピリピリムードを漂わせた。年末は出稽古に来た逸ノ城と計42番をこなし、22勝と勝ち越し。イメージを体に染みこませ、さっそく訪れる一番に備えている。

 初場所の初日にはもったいないほどの好取組に、懸賞は21本懸かった。その数字が期待の証拠だ。関脇以下の取組では昨年秋場所千秋楽、大砂嵐戦(25本)以来の20本超え。初日に限ると、91年秋の関脇貴花田-平幕巴富士戦の14本を上回り、平成以降最多。あの「若貴」を超えた懸賞数だ。昨年からCM出演する永谷園はもちろん、逸ノ城も「ベビースターラーメン」で知られるおやつカンパニーから懸賞が付いたことで異例の数字をたたき出した。

 昨年秋場所の大入りは14日だったが、今場所の前売り券はすべての土日祝日を含め、7日分が完売している。初日の札止めは確実で、初場所では97年以来、18年ぶりの15日間満員御礼も見込める状況にある。

 大相撲人気の復活が現実となり、さらなるファン開拓のためにも、遠藤の活躍はなくてはならない。昨年は春と秋場所で前頭筆頭まで上がりながらも、上位勢の壁に屈して負け越した。巻き返しを期す新たな1年の始まりに「思い通りの調整ができた」と胸を張る。目標の三役昇進を実現するためにも勝って自信を高めたい。白星発進で、自身にも、角界にも勢いをもたらしたい。【桑原亮】

 ◆大相撲の懸賞金

 提供する企業や団体は、懸賞旗1本につき懸賞金6万2000円と懸賞旗の制作費約5万円を、日本相撲協会に支払う。6万2000円のうち協会事務経費5300円を除いた5万6700円が力士手取り。そのうち2万6700円は納税充当金として天引きされ、土俵上で渡されるのし袋には懸賞旗1本につき現金3万円が入っている。今年初場所初日の懸賞総数は130本で初日では08年初場所の119本を上回り過去最多。