点差を見れば競った試合に感じるものの、中身を見れば失点に直結したエラーが多かった日本ハムが敗れた試合だった。オリックスは4回に太田が、5回に頓宮が失策し、それぞれ2失点ずつ。日本ハムは絶対に勝たなければならない展開だった。

半面、自滅と単純に割り切れない部分も見えた。6回無死一塁ではマルティネスが頓宮の一直を好捕して併殺にしている。確かに守備の乱れは目立つが、粘り強く守ろうという側面もうかがえる。去年までのような悪い流れを止められない淡泊さから、若干の成長は出てきたように感じる。

プロであっても、試合にエラーはつきもの。エラーが出ても失点しないバッテリーの踏ん張り、打線がカバーする総合力など、日本ハムにはしぶとい戦い方が求められる。交流戦からオールスターにかけ、この日のようにミスをカバーできずに敗戦となると、どんどん厳しくなる。

その点、オリックスは終盤にかけて紅林、ゴンザレスが好守備を連発して勝機を引き寄せた。こういう点こそ、日本ハムが学び、実践すべき部分だろう。

また、打線では1番の加藤豪に注目したが、もっと成長してほしいと感じる。凡退の中身を見ても、物足りなさを感じる。一方、4打席無安打だった田宮には、凡打の中にも光るものがあった。

タイミングの取り方がいい。構えがやわらかく、バットを操作するハンドリングがいいから、トップの位置に素早く入り、しっかりボールを待っている。バットコントロールも安定しており、ボールに対するコンタクトも悪くない。

まだ打席数も少なく、開幕して1カ月。経験が少ないだけに、この段階でいい、悪いは判断できないが、ここまで成績を残している技術的な根拠は感じられる打席内容だった。

失策の場面、清宮はあそこまで慌てて投げる必要はなかったし、田宮もしっかりボールを握れずにミスをした悪送球だった。しかし、こうしたミスが出た時にこそ、ミスを取り戻す、ミスをカバーするプレーが出れば、もっとチームは安定する。

中日も昨年の最下位から奮起している。日本ハムもまだまだうまくいかないこともあるだろうが、その中で競り勝ってこそ、チーム力はつくことを忘れないでほしい。(日刊スポーツ評論家)