これだけ白星に縁がない投手も珍しい。

 16日の巨人戦で先発した原樹理(ヤクルト)が4回途中8失点で負け投手となり、開幕から白星なしの5連敗を喫した。今季が3年目の原は1、2年目にも6連敗を経験。シーズン5連敗を1年目から3年連続で記録したのは、関根潤三(近鉄=50~53年)高橋輝(国鉄=50~52年)権藤正利(洋松、大洋=53~58年)小宮山悟(ロッテ=90~93年)に次いで5人目の珍しい記録だった。

 過去の4人は連敗こそしていたが白星も挙げており、いずれの投手も2年目までに通算10勝以上。しかし、原はここまで5勝24敗と、わずかに5勝だけだ。

 通算20敗時点で5勝以下だったのは、原が史上10人目。原は20敗がすべて先発での敗戦だが、過去9人はいずれも救援での黒星を含んでおり、原は先発で負け続けた初のケースとなった。

 もっとも、勝てない原因は全て原の責任というわけでもない。今年4月10日の中日戦では8回3失点と先発の役目を果たしたが、味方打線が相手先発柳に完封負け。原の先発時の援護率(9イニングあたりの援護点)は3年間で3・04。同期間のチームの他の先発投手が3・88だけに、原の援護の少なさは明らかだ。

 また白星をフイにされた試合も目立つ。昨年7月7日の広島戦では9回に5点差をひっくり返されたが、この時の先発が原だった。このケースのように勝利投手の権利を持って降板した後、救援投手が打たれて白星がつかなかったのは通算5試合。原が入団する前年のヤクルト救援陣の防御率はリーグトップだったが、16年からの同防御率のリーグ順位は6位→6位→4位。先発としては何とも運の悪いタイミングでの入団となってしまったようだ。

 投手の勝ち負けはその選手の実力がそのまま反映されるというよりは、運によるものが大きい。通算5勝24敗、勝率1割7分2厘とここまでは歴史的な「運のなさ」を見せている原が、今後どのような成績を残すかを見守りたい。