東海大静岡翔洋(静岡=中部4位)が4試合連続の完投となった勝又奨投手(3年)の好投で、浜松商(同=西部5位)を下し、8年ぶりの東海切符を手にした。1-1の9回無死満塁のチャンスで、勝又自らが勝ち越し打(記録は野選)を放ち、弓桁義雄監督(51)の信頼に応えてみせた。決勝に進んだ、今月22日開幕の東海大会(静岡)に出場する。

 東海大静岡翔洋の勝又は最後のアウトを取ると満面の笑みで仲間と喜んだ。県大会1回戦から4試合連続でマウンドを死守。この日は9安打を許すも2四球8奪三振で、2週連続の連投にも「張りはあるけど2日目の方が調子がよい」と意に介さない。勝又は「監督にも心配してもらった。思いっきりやってこいと言われた」と話した。

 速球は130キロ台だが、打球の傾向や打者の様子を逐一探るようになったという。中部大会でも「静岡大成に4失点。苦しんだけど、どんどん投げて良くなった」と振り返る。左打者へ効果的なボールは何か。監督と模索する中でメジャーから広島に復帰した黒田博樹投手の「フロントドア」を参考にするなど、投球の幅を広げる努力を続けてきた。弓桁監督も「温存という考えもあるが投げるたびに良くなっていった。勝又で終わらせたかった」と信頼感を口にした。

 投げるだけではない。9回無死満塁の好機に、勝又は「スライダーが多かったので」と狙いを絞ったが遊ゴロ。バックホームも三塁走者の山本雄大(2年)の足が一瞬速くホームに触れた。勝又は「自分の打席で点が取れた。スタートがよくてよかった」と苦笑いだった。

 8年ぶりの東海大会出場権をもたらすとともに、甲子園への試金石となる静岡との決勝戦に臨む。勝又は「シズコウを倒さないと甲子園はない。緩急をつかって変化球を生かしたい」。冬を越してエースに成長した男が最大の難敵に挑む決意を口にした。【加納慎也】