高校野球100周年の全国高校野球選手権大会(8月6日開幕、甲子園)東・西東京大会は4日、神宮球場で開会式が行われた。ラグビーのトップリーグ、ヤマハ発動機の清宮克幸監督(47)の長男、早実(西東京)清宮幸太郎内野手(1年)が、夏の甲子園で始球式を行う同校OBのソフトバンク王貞治球団会長(75)と、始球式対決することを熱望した。「和製ベーブ・ルース」は、くじ運、打順…など、幾多のハードルが待つ夢を追う。

 開会式の興奮冷めやらぬ清宮が、いきなり珍宣言をした。甲子園の始球式を行う、早実OBのソフトバンク王貞治球団会長との“対戦”を熱望した。

 「打席って立っていいんですか? そしたら、もちろん立ちたいですね、そこは。王さんが始球式をするのに、自分たちが(甲子園に)いないのは失礼です」

 8月6日の開幕試合を引き当て、先攻で1番を打てば実現可能だ。実際は「3番一塁」で先発出場する可能性が高く、夢プランではあるが、王会長との初対面を甲子園に定めた。

 開会式から「VIP待遇」だった。一般人との接触を避けるため、球場への出入りは加藤雅樹主将(3年)とともに食品を運搬する通用口を使用。小雨の降る中、西東京の選手は左翼で、東東京は右翼スタンドで着替えたが、2人は三塁側のロッカールームで着替え、開始直前まで待機した。東京都高野連関係者も「初めてのこと。混乱を避けるための対応です」と清宮フィーバーに対処した。

 開会式ではバックスクリーンの電光掲示板に清宮が映され、終了後にはロッカールームで異例の囲み取材が行われた。30人以上の報道陣がすし詰め状態になったが、ルーキーは冷静に夏への取り組みを語った。「強いて言うなら選球眼ですね。春は打ちたい気持ちが強かった。練習試合では見極め、我慢を心がけました」。打ち気を抑えながら、すでに13発をかっ飛ばす。

 背番号は「19」から「3」になった。役割は分かっている。「春の大会から注目されてきた分、バットでしっかり結果を出したい。自分たちが出て、甲子園を盛り上げたいです」。自信に満ちあふれる、清宮の夏がやってきた。【和田美保】