先発の仙台育英・佐藤世那投手(3年)が、前回覇者を完封した。5安打9奪三振の快投で米国を抑えきった。日本が出場するのは今回が4度目だが米国に完封勝利するのは初めて。快挙を成し遂げ「ホッとしています。疲れました」と思わず笑顔。西谷監督も「代えようと思うところがなかった。本当に佐藤の好投に尽きます」と手放しでたたえた。

 「アメリカに一番嫌がられるだろう」と西谷監督に先発を言い渡されたのは前日の夜。いざマウンドに立ち、185センチ台の打者を前にすると不安も生まれたが「楽しみもあった」と、140キロ台の直球と武器のフォークで初回からぐいぐい押した。

 2回にはそのフォークを決め球に3者連続空振り三振。5回1死満塁のピンチを二ゴロ併殺で切り抜けると勢いに乗った。「相手打者が合ってきたら別の変化球も投げようと思いましたが、最後まで真っすぐとフォークだけでした」。同じ仙台育英の郡司とのバッテリーも絶妙だった。

 味付けにうるさいグルメな舌を持ち、洗剤のにおいをすぐかぎ分ける鼻も持つ。武器のフォークを操る指先にもそんな繊細さが生きている。「怖いのは米国だけど、日本の打者の方が抑えるのが難しい」。力強い米国打線を、直球とフォークのほぼ2種類で幻惑した。【高場泉穂】