早実(西東京)の清宮幸太郎内野手(2年)が、今夏の初スイングで高校通算51号を放った。全国高校野球選手権西東京大会2回戦の啓明学園戦に「3番一塁」で出場。3回の先頭で迎えた第2打席、カウント1-0からの2球目を右翼ポール際へ運んだ。さらにこの回、1年生で4番の野村大樹(だいじゅ)内野手にも3ランが飛び出し、11-1で5回コールド勝ち。新旧4番の活躍で、2年連続の夏の甲子園出場へ最高のスタートを切った。14日の3回戦は秋留台と対戦する。

 清宮が、ひと振りで決めた。初回の第1打席は6球すべて見送って四球。3回の第2打席、スライダーを狙っていた。真ん中低めを右翼ポール際にたたきこんだ。第3打席はストレートの四球。この日バットを振ったのは本塁打の1球だけだった。「ヘッドを返して、うまくさばけた。ボール球も見切れたし、ホームランも出たので上出来かなと思います」。昨夏の西東京大会は本塁打ゼロ。パワーアップした姿を披露した。

 今夏から4番に座る後輩の1発を、自分の本塁打より喜んだ。8-1とした3回2死一、二塁、この日が公式戦デビューだった野村が、初球を左越えに3ラン。ハイタッチで迎えた。清宮の公式戦1号は3戦目。「野村は初めての夏だし、打ってもらいたかったのでスッキリした。去年の自分より全然上です」とたたえた。野村は「清宮さんもできなかったことなので、ちょっと狙いました。自信になります」。高校通算5発目での“清宮超え”に、笑顔で胸を張った。

 1年間の経験を、惜しみなく伝える。野村は入学当初、結果が出ず苦しんでいた。昨年の自分と重ね合わせ、声をかけた。「中学ではボール球も力で打てたけど、高校では打てない。俺もそうだった。よく見たらボールになる球が多いから、有利なカウントになって打てるようになる」。好球必打の重要性などを助言し、弟のようにかわいがってきた。この日の試合前もペアを組んでウオーミングアップを行い、夏の緊張感を伝えた。結果は公式戦初のアベック本塁打。ともに制球に苦しむ相手のファーストストライクをとらえた。

 心強い「相棒」との共通点は多い。抜群の長打力はもちろん、がっちりとした体に、丸い顔。マイペースで、時には忘れ物もする。「俺に似ていると思う」という清宮は、水色のタオルで汗をぬぐった。昨夏も早実初等部からの友人4人にもらった黄色のタオルを愛用して甲子園に出場。今年は、憧れの先輩・日本ハム斎藤が06年夏に全国制覇した際に使っていた色だ。「今年ももらったの?」と聞かれると、照れくさそうにうなずいた。早実の怪物コンビ「KN砲」が、夏を熱くさせる。【鹿野雄太】