4年ぶりの夏の甲子園出場を狙う酒田南が日大山形を8-0の7回コールドで圧倒し、2年ぶりに準決勝に進出した。プロ注目の4番石垣雅海内野手(3年)が4四死球と勝負を避けられたが、初回に4安打4四球で打者11人を送り込み、6点先制して押し切った。

 歩かされても勝った。1回1死一、二塁。今大会2戦3発の石垣が勝負を避けられた。相手捕手は立たないものの、外角一辺倒の四球が3打席続き、6回には初球が右足親指に当たった。1度もバットを振れなかった石垣は「(4四死球は)人生で初めて。塁に出られるのでヨッシャーと思っていた」と言うものの、笑顔はなかった。雨にもかかわらず試合開始予定1時間前から行列ができるほどの好カードで、プロ5球団7人のスカウトも詰め掛けたが肩透かしに終わった。

 我慢できたのが成長の証だ。「振りたい欲求があるとダメ。そこは我慢して、打ちたい打ちたいとならないように。今年はボールを見ることを意識している」。何とか平静を保ちつつも「最終打席はいったろ! と思っていた。ここぐらいは勝負にくるだろうと思ったら当たってしまった」と本音もポロリ。

 試合後、敬遠策について鈴木剛監督(35)は「イメージはしていた。石垣はよく我慢した」と想定内を強調した。日大山形の荒木準也監督(44)はプリンスホテル時代にアトランタ五輪最終候補だったこともあり「避けられたということは、認められたということ」と敵将にも敬意を表した。

 石垣が歩かされても後続の5番以降で6打点をたたき出し、準決勝に進出した。00年以降の五輪イヤーには必ず甲子園に出場している。4年ぶりの聖地へ向けて石垣は「ホームランを打ちたい気持ちはあるけど、まずチームに貢献したい。気を緩めず1戦1戦勝つだけ」と宣言した。【高橋洋平】