巨人が16年版「高校BIG3」に熱視線を送る。1日、都内の球団事務所でスカウト会議を行い、甲子園に向けて夏の各都道府県大会を戦った高校生をチェック。37イニング連続無失点で花咲徳栄(埼玉)を甲子園に導いた152キロ左腕、高橋昂也投手(3年)を新たにドラフト最上位候補のAランクに加えた。以前からトップランクに名を連ねる履正社(大阪)の寺島成輝投手(3年)、横浜(神奈川)の藤平尚真投手(3年)とともに超高校級の動向を注視していく。

 ドラフト候補のピラミッドの最上層に、新たな名が刻まれた。埼玉大会で37回連続無失点、52奪三振の花咲徳栄・高橋昂が、巨人のドラフト上位戦略に食い込んできた。山下スカウト部長は約2時間の会議を終え、急成長ぶりを表現する。「春はBランクだったが文句なしのAランクに成長した。春と別人の投手で進歩がすごい。球の速さ、クロスする球は角度があるし、大崩れしない。先発完投能力が高く、将来は軸になる」と称賛の言葉を並べた。

 高校生は約40人をリストアップし、BIG3を定めた。「藤平、寺島もそう。三羽がらす以外もいい投手はいるが、3人がAクラス」。横浜・藤平は6月の前回スカウト会議でAランクに浮上。堤GMが今夏の地方大会初視察に神奈川大会5回戦の横浜対向上を選び、「逆球がほとんどなく、完成度が高い」と好印象を抱いた。

 履正社・寺島は同GMの日程が折り合わず、まだ視察していないが、大阪大会5回戦の大体大浪商戦ではスカウト6人でクロスチェックした。1月の第1回スカウト会議から高校生では唯一、Aランクに名前が挙がり続け、高評価は不変だ。

 今秋ドラフトでは投手が豊作といわれている。大学生、社会人合わせて9選手をAランクに位置付けているが、うち7人が投手。山下スカウト部長は「甲子園には出ないが、Aに近いB」として都城(宮崎)の151キロ右腕・山本由伸投手、九州産(福岡)の154キロ右腕・梅野雄吾投手、江陵(北北海道)の154キロ左腕・古谷優人(いずれも3年)の名を挙げる。甲子園での戦いぶりを精査しながらランク付けを進めていく。

 チームは「一新」をスローガンに掲げ、高橋新監督の下で新たなチームづくりを模索している。先発投手陣の整備は急務の課題。特Aと評された創価大の156キロ右腕・田中正義は右肩痛からの復調ぶりを注視している。山下スカウト部長は「中日の小笠原のように1年目の途中から出てくる可能性がある」と言う高校BIG3の一角が、新しい巨人の先導役として指名される可能性は十分にある。【広重竜太郎】

 ◆高橋昂也(たかはし・こうや)1998年(平10)9月27日、埼玉県久喜市生まれ。アニメ「メジャー」の影響で、小3から栗橋ジャイアンツで野球を始める。栗橋東中では久喜シニアに所属。花咲徳栄では1年秋からベンチ入り。2年夏は甲子園8強、3年春はセンバツ初戦で秀岳館(熊本)に敗れた。好きな芸能人はNMB48の山本彩。181センチ、83キロ。左投げ左打ち。家族は両親と姉。