プロ野球ドラフト会議が20日、行われる。プロ志望届を提出した酒田南(山形)の石垣雅海内野手(3年)は高校通算37本塁打の長打力に加え、遠投100メートルの強肩に50メートル5秒9の脚力も兼ね備える。3拍子そろった右投げ右打ちの和製大砲候補が、プロでも大暴れを誓った。

 運命の日を2日後に控え、石垣は湧き上がる興奮を抑えるのに必死だった。「毎日ドキドキが止まらない。山形県のドラフトの流れを止めたくない。12球団、どこでも行きます」。12年の酒田南・下妻(楽天)を皮切りに、日大山形・奥村(巨人、現ヤクルト)、山形中央・石川(日本ハム)、同青木(広島)と、4年連続で高卒のプロ入りが続いている。かつて野球後進県だった山形は今、確実にレベルアップしている。

 生粋の「アーチスト」が歴史をつなぐ。石垣の弾道は高角度で一気に上がると、長距離打者特有の滞空時間が長い放物線を描く。「常に打球の角度と高さは意識しています。回転が大事」。高3の朝練では打球を上げるために、左手1本でのティー打撃でひたすら球にスピンをかけ続けた。「利き手の右腕が強すぎるので、左手だけでバランスをとってました」。手首の返しを意識する独自の練習法が、天性の打球を生み出した。

 今夏の山形大会4試合で8打数5安打10打点3ラン3発と大爆発した。日大山形戦では4四死球と勝負を避けられた。準決勝で鶴岡東に敗れて1度も甲子園を経験できなかったが、強烈なインパクトを残した。「酒田南ではホームランバッターとして成長できた。鈴木(剛)監督(35)にとっても初のプロ選手になるので、絶対にプロに行きたい」と恩師への恩返しを誓う。

 子供の頃からの夢を実現させ、プロの舞台でも己を貫く。「3拍子そろった選手になりたい。みんなと同じホームランじゃつまらない。スゴい飛距離でバックスクリーンにぶち当てたい」と強気に宣言する。180センチ、85キロの体には無限の可能性が秘められている。俺がプロ野球の星になる。【高橋洋平】

 ◆石垣雅海(いしがき・まさみ)1998年(平10)9月21日、山形・酒田市生まれ。亀城小3で野球を始め、酒田三中軟式野球部では3年時に東北大会に出場し県選抜候補。酒田南では1年春から正三塁手、同秋に遊撃手、2年春から外野手に転向し、3年春に遊撃手に再転向。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。家族は両親、姉、弟、祖父母。血液型B。