<巨人3-2中日>◇25日◇東京ドーム

巨人西舘勇陽投手(22)が史上初の快挙を達成した。1点リードの7回に2番手で登板。代打大島、岡林、田中を3者凡退に抑え、ホールドをマークした。3月29日開幕阪神戦から10試合連続ホールド。

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周囲を山々に囲まれ、真っ白な雪化粧に覆われる。西舘は岩手県北部の一戸町で育った。

「ランメニューや、きついことへの苦手意識は、あの時があったからなくなったのかな」と一戸中時代を振り返る。野球、駅伝、クロスカントリースキーの3刀流で鍛えた。

雪解けした春。白い息を吐きながら、平日は朝7時半にグラウンドにいた。野球部の練習のほか駅伝部員として毎日7キロ以上の走り込み。冬が訪れると、野球練習後、夜8時までクロスカントリースキーで鍛えた。全国大会に出場するレベル。培われたのは広背筋などフィジカルだけではない。「駆け引きの中で勝負勘も鍛えられた」と勝負師としての力も養われた。

当時3つの部で指導した現九戸中の市橋晴美教諭は「泣き言1つ言わなかった」と回想する。今につながる強い心身の原点だった。【巨人担当=上田悠太】