静岡(静岡3位)が5-1で至学館(愛知3位)との決勝を制し、2年ぶり4度目(静岡一時代を含む)の優勝を飾った。今大会は4試合で本塁打なしという「小粒」打線だったが、小柳廉主将(2年)を中心に結束感は抜群。四死球を選び、犠打や盗塁の小技を絡め、単打でつなぐ全員野球で勝ち抜いた。これで来月11日開幕の明治神宮大会(東京)出場権も獲得。実力者ぞろいだった2年前のチームも成し得なかった「神宮初勝利」を目指す。

 静岡の「ホーム」草薙球場が大声援に包まれた。今大会初先発の竹内奎人(2年)を救援したエース池谷蒼大(2年)が、最後の打者を中飛に仕留めると、たちまちマウンドに歓喜の輪が広がった。小柳主将は「今までの苦労が実った気がします」と喜びに浸った。2回に先制し、4回には6番・藤田誠也(2年)の二塁打を皮切りに犠打を絡め、上位打線の3連打で3点、6回にも2死から3番・稲角塁(2年)の左前適時打でさらに1点追加。理想的に得点を重ねた。

 今大会の静岡は4試合で0本塁打ながら26得点を挙げた。3試合で7本塁打30得点を挙げた2年前、4番は楽天の堀内謙伍捕手(19)、今年のドラフトで西武に4位指名された鈴木将平外野手(3年)もいた。前回に比べ、「小粒」なチームを分析した小柳主将は「1人1人をよく見て、考えて言葉をかけるようにしました」と振り返る。

 特に3学年上の主将スタイルを見習った。当時の主将、岸山智大(早大準硬式野球部2年)が今夏の練習を訪れた際、1時間近くも話し込んだ。「岸山世代」も四死球を選び、犠打や盗塁の小技を絡めて14年夏に甲子園に出場。その一体感重視のチーム像を掲げ、試合を重ねて底力をつけた。

 今大会4試合で12犠打18四死球は、2年前の3試合で3犠打11四死球を大きく上回る。全員でフォローし合えるムードも武器だ。小柳は「甲子園というより、この仲間と楽しくやれることがうれしい」と声を弾ませた。「静高史上最強」と言われた2年前とは違うチームカラー。打線と心がつながる静高が、神宮でも存在感を示す。【鈴木正章】