円山で、円山が躍動した。札幌地区で、札幌月寒が7-2で札幌北を破り初戦を突破した。公式戦初登板の円山真悟投手(3年)が先発し、8回6安打無四球2失点(自責0)に抑えた。円山がベンチ入りした1年秋から、チームの初戦は3季通じてすべて円山球場。不思議な縁のあるエースが、同名の球場で記念の1勝を挙げた。

 札幌月寒の右腕、円山は先頭打者を3球三振で仕留め、リズムに乗った。3回までパーフェクト。最速130キロの直球を低めに集め、8回を2失点にまとめた。「緊張があったけど周りが声をかけてくれて助かった」。2回2死二、三塁の好機に三遊間を破る先制打を放ち、投打で主役を張った。

 同じ名前の円山球場のマウンドは、近いようで遠かった。ベンチ入りした1年秋以降、今大会まで5季連続、公式戦全試合が円山開催だった。円山と円山の不思議な縁。過去4大会、練習試合で結果を残せず、公式戦登板の機会を得られなかった。「制球が悪く自滅したり踏ん張りきれないことが多かった」と振り返った。

 このオフ、試行錯誤を重ねた。ワインドアップ、下手気味のサイド…。最良のフォームを探し求めた。最終的に「セットポジションからの上手投げクイックモーション」にたどり着いた。「しっくりきた。課題の制球が良くなった」。迎えた春。昨秋の背番号「11」から「1」に昇格した。ベンチ入りから公式戦通算10試合目。念願の円山のマウンドにたどり着いた。

 この日、4回に2失点しても気持ちを切らさず、無四球で試合をつくった。花田幹監督(43)は「最上級生になりメンタルが成長した」と目を細める。合同練習した他校の選手から筋トレを学ぶなど貪欲な一面を持つ。次戦の相手は石狩翔陽。99年6月生まれの円山は「投球に満足してない。できることをやって次も勝ちたい」と意気込む。またまた不思議な縁? 同校にとって、99年以来となる春の全道切符を狙う。【西塚祐司】