御代川弘哉主将(3年)は9回の攻撃に入る前、ベンチ前で声を張り上げた。「死ぬ気でいこう。オレらは絶対に勝てる。これまでやってきた野球をやろう」。自らもこの回の3、4点目をたたき出す右前打した。「詰まってもいいから右に打とうと思った。神様が打たしてくれました」。御代川は昨夏の三塁コーチ。右翼手だった土岐とともに、目の前でサヨナラを見せつけられていた。

 9回先頭の土岐が二塁打して口火を切ったが、後続なく2死に。それでも左前打、二塁打、四球、四球と続けて2点が入り、御代川につないだ。武田朝彦監督(39)は喜びより驚きの方が先に来た。「びっくりしています。力はないですが我慢、粘りが身上です。私は代打を根拠なく送ったんですが、やってくれた。土岐は去年のレギュラーで、その思いがみんなにつながったんだと思います」。

 土岐はもちろん、まだ満足はしていない。「4番の役割は果たせたかなと思いますが、これからです」。昨年の成績を超え、甲子園をつかむには、あと2勝しなければならない。【米谷輝昭】

 ◆東亜学園 1923年(大12)創立の私立校で、野球部は63年(昭38)創部。89年夏の甲子園で4強進出。91年夏も出場。主なOBは元広島川島堅、元中日小美濃武芳。東京都中野区上高田5の44の3。矢野隆校長。