第101回全国高校野球神奈川大会(7月7日開幕)の組み合わせ抽選会が8日、全国のトップを切って横浜市内で行われた。春季関東大会Vの東海大相模を筆頭に181校(連合チーム6校)が集う全国屈指の激戦区で、横浜・及川(およかわ)雅貴投手(3年)はセンバツ初戦敗退の苦杯からの逆襲を期す。注目の大型左腕が、最後の夏を前にもらした言葉の真意とは。

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母の日のことだった。両親も見守る中、専大松戸(千葉)との練習試合を5回無失点でまとめた153キロ左腕が、柔らかな表情でさりげなくこぼした。「この投げ方では、もう150キロは出ないと思います」。夏に勝つために投球フォームを作り直した。

「以前は肩を入れて、ひねりと同時に投げていました」。10年に興南(沖縄)で甲子園春夏連覇した左腕・島袋洋奨(現ソフトバンク)を参考に、ひねりの反動を球速に反映させていた。今は肩入れをしない。安定性重視のフォームを選んだ。抽選の行われた8日は香川県招待試合の香川西戦に先発し、7回を自責点2に抑えた。

高校3年生。1キロでも球速増を望む投手は多い。U18日本代表1次候補合宿で接した大船渡(岩手)の佐々木朗希投手(3年)は、いまや163キロだ。「周りがスピードを出していて、ちょっと不安な気持ちはあります。同年代には負けたくないですし」。本音は心の奥に封じ、勝利を最優先する。「直球とスライダーのみ」の王道投球で酸いも甘いも知った上で、チェンジアップと、新たにカーブも投げ始めた。

横浜は抽選の結果、13日間で7勝が必要で、しかも平塚学園など実力校がそろう厳しいブロックに入った。東海大相模、桐光学園ら強豪が大会終盤に待ち構えるかもしれない。それでも、厳しく温かく支えてくれた仲間と「絶対に甲子園に戻りたい」と願う及川は、絶対の「ぜ」に、特に力を込める。【金子真仁】