花巻東(岩手)の155キロ左腕、菊池雄星投手(3年)争奪戦に大リーグのレッドソックスが参戦する。花巻東は14日、国内、大リーグ球団との面談日程を発表した。進路を国内基本路線とする菊池は16、17日に国内12球団、19、20日に大リーグ8球団、史上最多となる日米20球団と面談することが決まった。レッドソックスは19日に面談の予定。昨年の社会人NO・1右腕田沢(元新日本石油ENEOS)に続き、日本人高校生の宝獲得に動く。日本人のアマ選手獲得に初参戦するヤンキース、密着マークを続けてきたドジャースなど、名門球団の争奪戦も激化してきた。

 菊池のもとに、続々と米国の名門球団が名乗りを上げた。19日はドジャース、レッドソックス、レンジャーズ、ジャイアンツ、20日はマリナーズ、メッツ、ヤンキース、インディアンスと全8球団が獲得に乗り出す。中でもレッドソックスはこれまで動向が表に出ることはなかった。13日、流石裕之部長は「(日米)全部で15球団」と話していたが、一転して日米20球団に膨れ上がった。

 レッドソックスは選手の育成には定評がある。昨年、社会人から日本のドラフトを経ずに獲得した田沢が、8月にメジャーデビューし、2勝3敗の成績を残した。これまで菊池の県大会や甲子園、国体で視察する様子が表に出ることはなかったが、シプリー副社長兼国際スカウトが今夏の甲子園を極秘視察していたという。

 ライバル球団ヤンキースは、日本人アマ選手獲得に初参戦する。歴史と伝統が裏打ちされたブランド力は高い。昨年は田沢争奪戦を回避したが、5月には花巻東対横浜(神奈川)の練習試合に関係者が3人集まるなど、県大会、甲子園と積極的な調査を続けてきた。長く密着マークを続けてきたドジャースは大リーグの1番手で面談する。3月にはローガン・ホワイトGM補佐が来日して、茨城・土浦市内での練習試合を視察した。メッツ、マリナーズ、ジャイアンツらも獲得への熱意を持っている。

 一方の国内球団は16日に1位指名する方針の西武がトップを切る。初日はホンダ・長野久義外野手(24=日大)を1位指名する巨人を含めて4球団、17日は残る8球団と、全12球団が面談して日本プロ野球の魅力を訴えていくことになる。菊池側は周囲も勧める国内を基本路線としており、1球団30分の面談で菊池のハートをつかみにいく。

 国内外全球団の面談に菊池は佐々木洋監督(34)とともに同席する。国内球団との面談が終了する17日、大リーグ球団が終了する20日の両日、自らが出席して会見を行う予定だ。5日にプロ志望届を提出した際、「ドラフトまでには決めたいです。いろんな方に迷惑がかかるのでなるべく早く、監督と相談して決めたい」と話しており、早ければ20日に方向性を示す可能性が高まった。