<高校野球兵庫大会:東洋大姫路6-1宝塚北>◇14日◇2回戦

 近畿NO・1右腕、東洋大姫路・原樹理(3年)が圧巻の三振ショーを演じた。宝塚北戦の3回途中から登板。フォーク、カットボールを封印し、最速145キロのストレートを軸に8回1/3を14奪三振無失点。延長11回、勝利を呼び込んだ。視察の日米9球団のスカウトも絶賛した。

 おもしろいように相手打者のバットが空を切る、圧巻の三振ショーだった。3回2死一、三塁で原が救援登板も、直後に三塁走者に本盗を許し、相手に先制点を奪われる。だが、そこからが原の真骨頂。最速145キロの速球、キレのあるスライダーで三振の山を築き上げた。

 最終11回裏こそ連打を許したものの、10回まで毎回の14奪三振。そのうち10個を得意のスライダーなどを振らせて奪い、スタンドに詰めかけた日米9球団のスカウト陣も舌を巻く出来だった。ブレーブス大屋博行国際スカウトは「ピッチャーとしての素質は満点。体がまだまだ出来てないから伸びしろも十分ある。(広島の)前田健太よりバネがある」とうなった。

 味方打線の援護がなく延長にもつれ込む展開だったが、原が相手打線につかまる気配は全くなかった。しかもこの日投げたのは、直球、スライダーにカーブ2球だけ。カットボールにフォークは披露すらしなかった。

 しかし、試合後の原に笑顔はない。「まっすぐが走ってたし球威はあったと思うけど、細かいコントロールはまだまだ。自分の中では合格点にはいってないですね」と厳しい。

 最後の夏にかける思いは人一倍だ。5年ぶりに復帰した藤田明彦監督(56)の方針で、初めて5月中旬から約1カ月、早朝の強化練習を行った。原は自宅のある兵庫・加古川市から毎朝始発電車に乗って学校へ。授業までの約1時間、山道を黙々とランニングし、猛暑に負けない体力づくりに努めてきた。

 「県内ではどこのピッチャーにも負けたくないですから。今日も暑さを楽しめるほどだったし、体力でも気力でもだれにも負けないと思う」。ピカイチの素質に苦しい練習を乗り越えた自信を胸に、原の高校最後の夏が始まった。【土谷美樹】