<高校野球千葉大会:東海大浦安6-1千葉商大付>◇22日◇5回戦

 なでしこJAPANに続け!

 東海大浦安(千葉)の“沢”直人内野手(3年)が4打数2安打4打点と大活躍した。0-1で迎えた6回に逆転の2点適時打、7回にもダメ押しの2点適時二塁打を放った。快勝の立役者になり、チームを3年ぶりの8強に導いた。

 なでしこ旋風が千葉県にも舞い降りた。「多少は意識していたところはありました」。ヒーローはサッカー女子日本代表MF沢穂希と自分をだぶらせた。0-1で迎えた6回2死満塁。東海大浦安の沢は、2ボール2ストライクからの5球目、高めの直球を振り切った。打球は右翼前に落ち、逆転の2点適時打。ベース上で喜びを爆発させ、右手を天に突き上げた。

 大会前は名前でクラスメートにいじられていたという。下の名前は「直人」。現総理大臣と同じ名前だ。迷走する政権をもじられ、少なからず損(?)をしていた。大会が始まってからも、3試合で7打数1安打。打撃フォームが崩れ、なかなか暗いトンネルを抜け出せずにいた。「原点に戻らないといけない」。今までの腰を使う打撃に回帰したことが、この日の好結果につながった。

 7回にもチャンスが訪れる。4-1で迎えた2死一、三塁。「出来ることを素直にやってやろう」と無心で打った打球は右中間を破り、ダメ押しとなる2点適時二塁打となった。1試合4打点は初。単身赴任中の父秀昭さん(48)も前日の夜行バスで大阪から応援に駆けつけ「さすが今一番熱い名前ですよね。よくやったと言ってあげたい」と息子の活躍を喜んだ。

 チームメートにも「お前が打てよ」と声をかけられていたという。沢は「同じ名字の有名人に力を借りることができたのかな」と照れくさそうに振り返った。この日の活躍で“直人”から“沢”へ。一躍、時の人の仲間入りを果たした。「メンバーに入っていない選手も含めて一丸となって勝ち進みたい」。次戦への抱負を語る姿は、なでしこのようにどこまでも謙虚だった。

 ◆沢直人(さわ・なおと)1993年(平5)5月24日、千葉県船橋市生まれ。小1で野球を始める。金杉台ジュニアシーダースでは主に投手、船橋サンボーイズでは主に遊撃手を務めた。AKB48大島優子のファン。家族は両親と妹。170センチ、63キロ。遠投105メートル。50メートル6秒1。右投げ右打ち。趣味はボウリングで最高スコアは240の腕前を持つ。