<春季高校野球北海道大会:旭川商3-1旭川大高>◇11日◇旭川地区1回戦◇東光スポーツ公園

 旭川商が夏の甲子園7度出場の旭川大高を下した。変則サイド右腕のエース古川祐輔(3年)が9安打1失点で完投。初回に1点を許したが、2回以降はスライダー、カーブ、シュートを有効に的を絞らせず、走者を背負っても巧みなけん制や小坂洸希捕手(3年)の3度の盗塁刺殺でピンチを脱した。チームは昨季、秋に1勝しただけだが、春は台風の目に浮上した。

 「初回は球が浮きましたが、あとは(捕手の)構えたところにいきました。私学の強豪を倒せてうれしい」。古川が自分で編み出した独特のフォームは1度垂直に、マウンドにお尻が着きそうになるくらい沈み、地上約50センチの高さでサイドから投げ込む。真骨頂は走者を許してから。球速はないが、同じ投げ方で動作がやや速くなるため、さらにタイミングが取りづいらくなる。学業も優秀で会計科ではトップ、学年6番で国公立大を志望している。

 女房役の小坂は内外角と高低を散らす好リードに加え、1回裏2死二塁から中越え二塁打で同点に追いつく殊勲打。「苦しい場面だらけ。古川が踏ん張った」とエースを持ち上げた。野畑了裕(あきひろ)監督(38)は「100点満点。バッテリーの勝利。よく辛抱して投げた」と喜び、チームに勢いがつく1勝を評価した。昨秋は3回戦で旭川西に敗れたが、激戦の旭川地区突破には私学強豪を倒すことが必至。道大会は夏6度、秋3度出場しているが春はない。戦前1926年(大15)に夏の甲子園を経験している古豪が85年を経て息を吹き返す。【中尾猛】