<春季高校野球岩手大会:盛岡大付6-2盛岡四>◇24日◇1回戦◇花巻球場

 プロ注目の左腕、盛岡大付・出口心海(しんかい、3年)が、5球団のスカウトが見守る中、盛岡四戦で今春公式戦初登板を果たした。本調子ではなかった中、8回2/3を投げて6安打2失点にまとめた。

 182センチの長身から投げ下ろす直球に、本来の伸びはなかった。出口は1回に四球と連打で先制点を献上し、7回には抜け球が打者の頭部を直撃。8三振を奪ったが「全然ダメです。腕が振れなかった」と表情はさえなかった。

 プロに進んだ先輩に憧れ、岩手で成長する道を選んだ。「全てにおいて尊敬してます。伊東さんみたいになりたくてここに来た」。09年ドラフトで広島入りした伊東は、神奈川・瀬谷ボーイズの先輩に当たる。長身、左腕、高校入学前は控え投手と共通項も多く、関口清治監督(35)は「フォームも似ているところがある。伊東が剛なら、出口は柔」。中学で主に一塁手だった男は、雪国での厳しい練習でプロも注目するサウスポーに成長した。視察したオリックス中川スカウトは「前で球を離せるから、思った以上にボールがくる」と球持ちの良さを評価した。

 昨秋は準々決勝で花巻東に延長で敗れた。「全てにおいてレベルアップしないといけない」と決心し、冬場は長靴を履いての雪上ランニングなどで体重が9キロ増えた。「悪いなりにも勝つことが、成長につながる」と貪欲な左腕が、「逆襲の夏」を見据え、目をギラつかせた。【今井恵太】