<高校野球IBAF18U世界選手権:日本0-3韓国>◇8日◇決勝ラウンド◇韓国・木洞

 160キロ右腕の大谷翔平(3年=花巻東)が、海外勢との真っ向勝負に刺激を受けた。5位決定戦の韓国戦に先発。7回2安打2失点で敗戦投手となったが、日本とは異なる形状のマウンドにフォームを微調整しながら対応。最速は155キロをマークして12三振を奪った。将来性豊かな今秋のドラフト1位候補は「力と力の勝負が楽しかった」と、初の海外遠征で大きな経験を積んだ。6位に終わった高校日本代表は今日9日、帰国する。

 高校生活最後の公式戦で勝てなかったのに、大谷の表情は充実感に満ちあふれていた。「外国人は(バットに)当てにこないし、思い切りよくスイングしてくる。力と力の勝負。やってて楽しかった」。自分より大きな選手が、フルスイングで勝負を挑んでくるたび、アドレナリンが出た。全9試合で4番。8月31日のカナダ戦の登板以降、ほとんど投球練習ができない中、最速155キロをマークした。

 初の海外遠征で、高い適応能力を発揮した。「マウンドの上が日本みたいに平らじゃなく、山みたいになっていた」。4回途中3失点で降板した初戦のカナダ戦の経験を無駄にはしなかった。この日は、左足を上げてから体重移動をする前に、一瞬の間を作るフォームに修正。バランスを保てたことで、100球中22球が150キロを超えた。右人さし指のマメがつぶれるアクシデントもあり「監督さんには『危なくなったら代えてもらって構いません』と言っていた」。7回2安打2失点12奪三振と先発の責任を果たした。

 逸材たちが1つのチームになった16日間で、貪欲に自分を磨き続けた。スカウト陣が「完成されている」と舌を巻く藤浪に対し、「将来性」で評価される。ブルペン捕手を務めた園田松吾アシスタントコーチ(36)によると「藤浪は自分の形を確認していて、大谷は探している感じ。でも、指にかかった時は大谷のボールが一番」。左手の使い方、右腕の回し方にも、日々変化が見られたという。大谷も「聞いてはいないけど、目で見て勉強になった」と、野手として先発した時は、左翼から藤浪の間の取り方などを脳裏に刻んだ。

 高校生として戦う公式戦は全て終わった。「ピッチャーの気持ちも捨てずにいきたい」とこだわりを見せる。進路については「両親や監督と決めたい」と明言は避けたが、日の丸ユニホームを着ての真っ向勝負は、大谷を強く刺激した。【今井恵太】