白星を招きネコ!?

 秋季全道高校野球大会を連覇した北照が、優勝から一夜明けた8日、出場権を獲得した明治神宮大会(11月10日開幕、神宮)に向け、軽めの練習で再スタートした。今夏の南北海道大会準決勝で敗退した夜から、小樽市内の野球部寮に白ネコ「トミ」が居着いて、そこから公式戦無敗。縁起のいい白ネコの抜け毛を、お守り代わりに神宮へ持ち込むプランも持ち上がっている。

 野球部寮の隣に住んでいる北照・河上敬也監督(53)は、秋の全道優勝から一夜明けた8日朝、自宅から出ると、まず白ネコのトミを探しに行った。「これでオレの仕事は終わったにゃん。それじゃ、北照の諸君、さよなら」と、トミがまた、寅さんみたいに放浪の旅に出たような妙な胸騒ぎがしたからだ。そんな監督の心配をよそに、トミは野球部寮玄関付近でおいしそうに朝食を食べていた。「ほっとしましたよ。勝ちネコですから、出て行ったら困ります」と監督は真面目な顔で話した。

 トミが野球部寮に姿を見せたのは7月19日、夏の南大会準決勝で札幌一に敗れた夜だった。監督、選手とも、心も体もくたくたになっていたとき、白いネコが迷い込んできた。放浪のせいか当初は薄汚れていたが、選手がかわいがり、なでたりしているうちに白い毛並みがきれいになった。人見知りもせずに、選手たちにもすぐになついた。「白いネコは縁起がいい」と河上監督は“入寮”を許可。やせているのが入学当初の富田魁仁遊撃手(2年)に似ていると「トミ」と命名し、正式に北照の一員となった。

 トミが居着いてから公式戦8連勝、来春のセンバツ切符を当確とした。ただトミは、真っ白ではなく腹に黒い丸が1個ある。39戦38勝1敗、練習試合も含めたチームの成績そのまま。明治神宮大会出場に向け、この日、準備が始まった。優勝すれば北海道に春甲子園の出場枠が1つ増える大会で、勝利の招きネコも大事な“戦力”の扱いだ。

 東京まで移動させ滞在させるのは難しいが、代案として、なでて抜けたトミの白い毛を選手がお守りとして持参する案も出ている。監督は大のネコ好きで、野球部ホームページもネコをあしらったデザインにしているほど。「このチームで全国制覇をしたい」とする河上監督に、ネコの神さまが神宮でも白星をもたらすはずだ。【中尾猛】