<センバツ高校野球:組み合わせ抽選会>◇15日◇大阪・オーバルホール

 究極は無安打勝ち!

 第85回全国選抜高校野球大会(22日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選会が、大阪市内で行われた。2季連続ながら春は優勝以来55年ぶり出場の済々黌(熊本)は、第5日第2試合で常総学院(茨城)と初戦を戦う。エース左腕大竹耕太郎(3年)を中心に守りは自信も、課題は攻撃。中川洸志主将(3年)は「理想はノーヒットで1点」と機動力野球を掲げた。(学年は新学年)

 熊本県最古の高校で、屈指の進学校が狙うのは“珍記録”だ。隣に座る常総学院内田主将の耳にも届くように、中川主将は力強く言った。「ノーヒットでも1点。そういう野球をしたい」。昨夏の甲子園でも、漫画「ドカベン」に登場した珍プレーで得点を奪い、話題になった。済々黌野球の究極は「無安打でも勝つ」だ。

 プロ注目左腕の大竹を軸に、守りには自信を持つ。「守りの基礎から固めてますから」と中川は胸を張る。しっかり捕球する、送球する。基礎の基礎から鍛え上げ、本番に臨む。失点を防ぐ自信はあるものの、問題は得点力だ。そこで中川は「常総学院相手になかなかヒットは打てない。足を絡めて、バントもしっかり決めて。機動力で点を取りたい」と攻略プランを明かした。

 「ノーヒットで1点」。練習から備えはできている。実戦を想定した練習が多い。その中でキーワードが「攻めの走塁」。中川は「練習ではアウトになってもいい。常に次の塁を狙う意識付けをしている」という。さらにミスや指摘があれば、プレーを止めて選手間で言い合う。隙を作らず、相手の隙を突く。そんな野球を築き上げてきた。

 春は55年ぶり。その半世紀以上前は、初優勝を飾っている。再現をと、地元の期待は大きい。「優勝を期待してくれる方も多い。応援は日本一と思う。甲子園常連の常総学院相手に、その応援の力で100%の力を出し切るだけ」と池田満頼監督(40)は言った。「ノーヒットで1点」。済々黌は相手の隙を狙う。【実藤健一】

 ◆済々黌の昨夏の珍プレー

 鳴門との初戦(2回戦)。2-1とリードした7回1死一、三塁で、遊撃へのライナーが好捕され、一塁に転送されて併殺。しかし、三塁走者の中村謙は戻らず、本塁を狙って3アウトよりも早くホームを踏み、生還が認められた。鳴門側からのアピールがあれば認められなかったが、なかったため得点が入った。同様のプレーが野球漫画「ドカベン」にあり、中村謙は読んで覚えていたという。