<高校野球春季福島大会:小高工2-1いわき光洋>◇17日◇1回戦◇県営あづま球場

 小高工がいわき光洋を下し、2回戦に駒を進めた。身長182センチの大型右腕、菅野秀哉(2年)が7安打1失点完投。プロのスカウトも見守る中、力のある直球を軸に高い潜在能力を披露した。

 スガノではなくカンノです。182センチ、69キロのスラリとした体形に、面長の顔。大阪桐蔭のエースとして昨年の甲子園春夏連覇を達成した阪神・藤浪とどこか似ている。本人も「似てるってよく言われます」とまんざらでもない様子。右肩を痛めた昨秋のエース伊東和也(3年)に代わってエースナンバーを背負う今春。容姿だけでなく、プレーでも注目を集めつつある。

 最大の武器は、最速138キロの直球だ。この日は「全然走らなかった」と不満げな顔を浮かべながらも137キロをマーク。7回1死二、三塁のピンチでは、直球で押して2者連続空振り三振で切り抜け、完投勝利をあげた。身長197センチの“藤浪級”の大きな手と長い指を生かしてフォークも操り、球種は4つと器用さも併せ持つ。

 伸びのある球は、しなやかに旋回する長い腕から生まれる。細身の体に合わせて服を選ぶ時は「袖が足りないことがあるんです」と長所で苦労することもある。だが、9回には長いリーチを目いっぱい使い、マウンド手前でバウンドしそうな打球をダイレクトでキャッチ。中日山本スカウトは「肘が柔らかくて前(打者により近い位置)で放れる。来年が楽しみ」と将来性を評価する。

 入学当初は、中学で投手だったことを伏せて遊撃手の練習を積んでいた。「走るのが苦手だったんで…」。だが、昨夏に投手へ“再転向”すると、ランニングにも積極的に取り組んだ。食事量も増やして体重は8キロアップ。比例するように球速も中3時より7キロ上がった。「この春で140キロは出したい。高校の間に150キロを出したい」と目を輝かせる16歳の伸びしろが楽しみだ。【今井恵太】