松井の夏は、最激戦区からのスタートになった。第95回全国高校野球神奈川大会(7月7日開幕)の組み合わせ抽選会が8日、全国のトップを切って横浜市内で行われた。今秋ドラフトの目玉、松井裕樹投手(3年)擁する桐光学園は、7月14日の初戦で中央農-相洋の勝者と対戦。同ゾーンには横浜、横浜隼人など強豪校がそろった。この日は、佼成学園(東京)と練習試合を行ったが、松井の登板はなく、8-3で勝利。

 桐光学園・野呂雅之監督(52)が、最激戦区を勝ち抜くための体力強化を松井に求めた。先週まで2週続いた熊本、福岡遠征では投手から外野へシフトする“二刀流”を実践。夏本番を意識して実戦経験を重視した。しかし組み合わせが決まり、夏を乗り切るための体力づくりを指示した。

 野呂監督は「春に比べて球のキレが悪くなったり、四球が多くなったと言われてもいい。肩や腰が少し重くても投げる。体を追い込んでもしっかり投げられるようになれば、夏を乗り切る力強さが身につく」と話す。2週間前に松井へ基礎体力の強化メニューを伝えると、ランニングの際にグラウンドコートを着るようになったという。同監督は「本番まであと1カ月。練習時間が倍になるわけではない。練習の質を高めるために自分で考えてやるようになった」と暑さ対策の取り組みに目を細めた。

 この日の練習試合で松井は、同点の5回2死二塁の場面に代打で登場。四球で出塁した直後に代走を送られた。試合前には「抽選どこに入りましたか?」と興味津々。順当に行けば準々決勝で横浜か横浜隼人など強豪校に当たる可能性が高いと知ると「去年と一緒か…」とつぶやいた。甲子園春夏4度出場の横浜商大高などもひしめくゾーン。ただ、連戦になるのは準決勝、決勝だけと比較的余裕がある日程ともいえる。

 抽選会に合わせるように頭髪を一分(3ミリ)刈りにして気合を入れ直した松井。野呂監督からの「応援される選手になりなさい」という言葉を胸に秘め、人気、実力ともに神奈川の“センター”を目指す戦いがいよいよ始まる。【島根純】