<東京国体高校野球:前橋育英6-4日大山形>◇1日◇準々決勝◇八王子市民

 日大山形の奥村展征(のぶゆき)内野手(3年)が高校最後の打席をソロ弾で締めくくった。今夏の甲子園準決勝で敗れた前橋育英(群馬)にリベンジはならなかったが、キャプテンとして、最後までプレーで仲間を鼓舞した。

 どしゃ降りの雨の中、奥村の闘争心に一層火がついた。3点を追う8回1死走者なし。「強い打球を打ってチームを勢いづけよう」と3ボール1ストライクから7球ファウルで粘って12球目。甘く入った直球を捉え、右翼席へ1発をたたき込んだ。

 ダイヤモンドを回る際には、「初めてです」というガッツポーズを何度も作って喜びを表現。試合後も「自分はツイてるんですかね」と笑顔がはじけた。荒木準也監督(41)も「最初から(1発を)狙ってましたね」と笑い、有終のアーチを喜んだ。

 試合は、今夏準決勝で1-4で敗れた前橋育英にあと1歩及ばず。奥村は「チームを勝たせてあげたかった」と悔しさものぞかせた。だが、滋賀県から縁あって山形に来て、主将として甲子園で県勢初の4強入り。チームに大きな功績を残した。「自分たちの代で歴史を塗り替えた。次も(甲子園で)まず1勝してもらってつなげていって欲しい」と後輩にさらなる夢を託す。

 今度は自分の夢をかなえる番だ。「目標はヤクルトの宮本さん。守備がすごいけど、2000本も達成した。自分も総合力で戦っていきたい」とプロ入りへの思いを語った。この日の1本を自信にし、今月24日のドラフトを待つ。【高場泉穂】