日本高校野球連盟の技術・振興委員会が20日、大阪市内で行われ、硬式での「タイブレーク方式」を導入する意向を固めた。試合の早い決着を図ることで選手の負担減につながるという判断で、来春の都道府県大会や地区大会で同方式を一律で導入することをこの日、全国9地区と東京の代表者に要望。将来的な春夏甲子園大会での導入に向け、導入時期、実施するイニングなどの議論を進めていく。

 慎重に全加盟校の意向を探るはずだった日本高野連のタイブレーク方式を巡る動きが、この日大きく動いた。3時間10分にも及ぶ議論を終え、日本高野連の竹中雅彦事務局長と同委員会の相沢孝行委員長が会見。竹中事務局長は「技術・振興委員会としては」と前置きした上で「(同方式の)導入は決定で、どの大会から実施するかということです」と明らかにした。

 前段階として、来春の都道府県大会や地区大会で試合が延長になった場合、10回1死満塁で試合を行う方式の採用を全国9地区と東京の代表者に要望した。来月15日に開く地方側との懇談会で意見を集約し、同27日の理事会で決める。竹中事務局長は「すべての大会で導入するための最初のステップ」と説明。来年の春夏甲子園大会や甲子園につながる夏秋の地方大会での実施はないが、再来年以降は今後話し合う。

 延長戦で人為的に走者を置き、早期決着を促すタイブレーク方式導入には、慎重論も根強かった。導入への議論のたたき台とする全加盟4030校対象のアンケートを今夏7月10日付で各都道府県高野連に送付。回答率98%のアンケート結果を9月29日に公表した。49・7%が支持した一方で、半数は反対と慎重論が混在。この日も「現状維持を望む意見がそこそこありました。高校で野球を終える選手が多いのに、タイブレークで終わるのはどうかというような意見があった」(相沢委員長)と認めた。

 それでも導入へと本格的に動き始めたのは「健康管理と大会運営」を重視したため。投球数や投球回数の制限なども議論したが、現実的に困難と判断した。相沢委員長は「(タイブレークは)100%ではないが、一番理にかなっている」と説明。高校野球は大きな転機を迎える。

 ◆タイブレーク

 延長回で得点を入れやすくするため、1死満塁や無死一、二塁などから攻撃を開始する規定。日本の野球でいち早く採用したのは03年の社会人野球。五輪では08年北京から、WBCでは09年の第2回から、大学野球では11年の全日本大学選手権から採用。高校野球では11年の明治神宮大会で10回以降1死満塁で初採用。国体高校野球では13年から、春季高校野球では今年から関東、北信越大会で採用された。U18世界選手権では無死一、二塁から攻撃する。