<高校野球秋季東北大会:仙台育英10-4大曲工>◇29日◇決勝◇石巻市民球場

 仙台育英(宮城1位)が、2年ぶり8度目の優勝を飾った。2回に一挙6点を奪うなど14安打と打線が爆発し、大曲工(秋田1位)を退けた。今大会4試合中3試合が2桁得点。地区予選を敗退して6年ぶりに敗者復活戦に回りながら、県大会を勝ち上がって東北王者の座に就いた。仙台育英は、来月14日開幕の明治神宮大会に東北代表として出場。15日に近畿代表との初戦を迎える。

 またビッグイニングをつくった。仙台育英が1点を追う2回に打者10人の逆転劇だ。無死満塁から7番佐々木柊野(2年)の左前打で同点とし、2死満塁となって1番佐藤将太(2年)が左前2点打。「きっちり借りを返せた」と、自らの三塁失策が初回の失点につながった佐藤将が喜んだ。1死球に6安打を絡め6点を奪った。

 初戦の2回戦一関学院戦の7回に8点、準々決勝日大東北戦では5回に7点を取った。3安打3打点の佐藤将は「つなぐ意識があるから、ビッグイニングをつくれる」と胸を張った。この日も1イニングで大量点。4試合中3試合が、2桁安打&得点だった。

 新チーム結成後、主力が出場した練習試合は八戸学院光星(青森)など全国強豪に負け知らず。強打を発揮し続けた。「うまくいき過ぎて、(地区も県も)優勝するだろうという思いがあった」と佐藤将は明かした。宮城の中部地区予選で聖和学園に敗れた。6年ぶりに敗者復活戦に回り、目の色が変わった。

 振り回すのではなく、「泥臭く、つなぐ」(佐藤将)意識が芽生えたという。流れを変えた2回の6安打はすべてシングル。3回には9番のエース佐藤世那(2年)が、左越えに2点二塁打を放った。つなぎながら単打も長打も出る。3安打の4番郡司裕也(2年)は「聖和の負けがあったから、ここまでこれた」と実感を込めた。

 2年ぶりの優勝で、センバツ出場がより確実になった。上林(現ソフトバンク)を擁した2年前は明治神宮大会を制した。佐々木順一朗監督(54)は「(佐藤)世那がしっかり投げた場合は強いかな」と自信を見せる。Vならセンバツの神宮枠が東北に生まれる。佐藤将は「東北地区のためにも」と言った。6県の期待を背負い、秋の全国舞台に乗り込む。【久野朗】