<センバツ高校野球:千葉経大付7-2常葉学園菊川>◇29日◇3回戦

 昨年王者の常葉学園菊川(静岡)が2-7で千葉経大付(千葉)に敗れ、史上3校目の連覇を逃した。1回表に先発のエース戸狩聡希(3年)が5本の長短打で3失点。2回以降は立ち直ったが、6回にも3点を失い降板した。7回に1番中川雅也右翼手(3年)、9回に代打安藤圭祐内野手(3年)の適時打で反撃も、10三振を喫するなど相手投手を打ちあぐねた。県勢のセンバツ通算50勝は来年に持ち越し。今後は出直しを図り、春季県大会(4月26日開幕)に出場する。

 これが連覇の重圧か-。エース戸狩から笑顔が消えていた。1回表、先頭打者に二塁打を許すと、わずか7球で先制点を献上。さらに、相手4番に右翼ポール際への2点本塁打を浴びた。「球が浮いてしまった。原因?

 力みすぎ。重圧?

 少しありました」。リードした栩木雅暢捕手(2年)は「失点シーンは弱気なところがあった。もっと攻めの気持ちを持たないと」と唇をかんだ。

 不調のエースを救うため、反撃を開始するはずの1回裏。今度は持ち味の超攻撃野球が繰り出せない。昨秋は全国トップの11戦13発を放った強力打線が、先頭から3者連続見逃し三振。中川は「三振でも空振りと見逃しは全然違う。積極性がないのが敗因の1つ」。伊藤慎悟中堅手(3年)は「最終回の雰囲気で初回にやれなかった。積極的なスタイルができてなかった」。相手投手が好調だったこともあるが、フルスイング軍団から思い切りの良さが消えていた。

 前哨戦となる昨秋明治神宮大会で優勝し、V候補筆頭として大会に臨んだ。他校から標的にされ、上位進出を狙う有力校からはデータを収集されていた。安打性の鋭い打球がことごとく相手野手の正面を突いたのは、このためだ。「飛ぶ方向がよく研究されていた」と森下知幸監督(47)。過去未勝利だった昨年とは、全国での位置づけが激変していた。

 夏へ向け、明るい材料はあった。7回から登板した野島大介投手(3年)は、自己最速となる139キロを出すなど3回4奪三振で自責点0の好投に「1点もやれないので攻めていった。今日は自信になった」。初出場の丹治秀明左翼手(2年)は7回に左前打を放つと、捕手ゴロで二塁から三塁進塁する好走を見せた。

 連覇は逃したが、重圧からは解放される。前田隆一主将(3年)は「あの投手ともう1度やりたい」。挑戦者魂を取り戻した菊川ナインが、再スタートを切る。【斎藤直樹】