<高校野球茨城大会:多賀2-1三和>◇7日◇1回戦

 茨城の奪三振男として注目された三和の石崎剛投手(3年)が初戦で散った。10回表不運な安打をきっかけに決勝点を許してしまった。「ストレートの伸びがなかった。初戦で緊張した。悔しさの方が大きい」と思いもかけなかった敗戦を振り返った。

 10回表1死後、内野安打に失策がからみ一、二塁のピンチを招いた。さらに送りバントを自ら処理しようとして足を取られ転倒。満塁としたところで、相手の4番吉田裕也(3年)に中前打を許した。最速145キロの速球が、この日は141キロ止まり。後半は暑さでバテていた。雨でぬかるんだグラウンドにも苦しんだ。雨で開始が1時間遅れたのも石崎剛にはマイナス材料になったようだ。

 スタンドには石崎剛目当てに10球団26人のスカウトが陣取った。初戦敗退の結果にも評価は変わらない。ロッテ山森スカウトは「初速と終速の差がいつも2、3キロしかない。関東でも高いレベルの投手」と話し、ソフトバンク宮田スカウトは「素質としてすばらしいしまだまだ伸びしろがある投手です」と評した。

 10回表、1点を失ったあとアウトは速球で空振り三振に仕留めた。昨秋から430イニングを投げ、これが618個目の三振。最後の最後に意地を見せ、注目の右腕が姿を消した。