<全国高校野球選手権:横浜7-4広陵>◇12日◇2回戦

 横浜(南神奈川)が、03年センバツ決勝で大敗した広陵(広島)に雪辱し、4年ぶりの16強進出を果たした。同点の4回2死二塁、唯一の1年生レギュラー大石竜太内野手が、右中間を破る適時三塁打を放ち、敵失の間に一気に生還。“ランニング2ラン”に3盗塁と足を絡めて7-4で破った。

 50メートル走5秒9の俊足がダイヤモンドを駆け巡り、頭から本塁に突っ込んだ。横浜の1年生大石はユニホームの胸からズボンまで、もう真っ黒だ。「もっとドロドロにしたいです。泥くさいのが自分のモットーですから」。逆転勝利の喜びにひたる余裕はなかった。

 2-2で迎えた4回2死二塁だった。左打席の大石がカウント2-3から粘った。11球目、146キロ速球を強振すると、打球は右中間を抜けた。中継がもたつく間に一気に本塁を陥れた(記録は三塁打と失策)。「自分がびっくりです。西(勇人)さん(三塁コーチ)の手が回っていたんで」。

 4回表、遊撃の守りでゴロをはじくと、全ナインに帽子をとって頭を下げた。宿舎では起床係だ。先輩の部屋を回り「7時です」と声をかけ、ノックする。夜の素振りは先輩のユニホームを洗濯する合間に行う。「広陵にリベンジ?

 成瀬さん(現ロッテ)が投げた試合ですか?

 僕は小学校でした」。横浜のユニホームにあこがれ、昨夏甲子園に出場した兄康太さん(桐光学園主将)とライバルになるのも覚悟で入学した。

 「(大石は)チームにプラスになる働きをしそうな雰囲気を持っている。今日は選手が負けたくない一念で粘ってくれた」と渡辺元智監督(63)は評した。試合中ベンチに立ち続けた。前夜のミーティングでは、北京五輪で金メダルに輝いた水泳の北島康介の名前を挙げて選手にゲキを飛ばした。「彼には絶対勝つの信念があった、そして戦略。後半勝負にかけた」と強調した。

 横浜の仕掛けは相手2番手投手が登板した4回だった。盗塁で揺さぶり、大石がバットで続いた。甲子園初安打だった。「僕、実力じゃなく気合で(遊撃に)入っているんで。次も全力でやります」と、次戦の奮闘を誓った。思わぬヒーローが飛びだし、記念大会に強い横浜が勢いづいてきた。【米谷輝昭】