<高校野球千葉大会>◇10日◇1回戦
甲子園出場経験を持つ拓大紅陵が船橋相手に苦戦。9回裏、2-1でサヨナラ勝ちして初戦を突破した。
拓大紅陵が、劇的な勝利で初戦を突破した。1-1の同点で迎えた9回裏1死二塁で、1番の大木貴将内野手(3年)に打席が回ってきた。それまで2打数無安打ながら気持ちは充実していた。「3年間をともにした仲間が後ろにいたのでいつも通りに振るだけだった」。平常心で臨んだ3球目、外角高めのチェンジアップをとらえた。
大木が「越えろ!」と祈りを込めた打球は、願いどおりに前進してきた右翼手の手前で弾んだ。直後に二塁走者我妻拓弥(3年)が俊足を飛ばしてホームイン。苦しみ抜いた初戦に勝利を挙げた瞬間だった。
春夏合わせ甲子園出場9回を誇る名門だが、近年は晴れ舞台から遠ざかっている。昨夏はベスト16で敗退し、秋・春季県大会はともに2回戦で敗れていた。この日もヒットエンドランのミス、守備の乱れもあって得点できない。船橋に1-0のリードを許す展開だった。
小枝守監督(57)は「走塁がお家芸の紅陵が、気持ちの焦りでミスをした」と振り返る。そんな苦しい展開の中、先発の海野智弥投手(3年)が踏ん張った。6安打1失点。最後まで1人で投げ抜いた。
当初、小枝監督は7回で交代させる予定だった。そんな腹づもりを、海野が変えた。「投げさせてください」と直訴してきたのだ。その気迫の力投が9回裏のサヨナラ劇を導いた。甲子園出場は04年のセンバツが最後だ。小枝監督は「帰ったらお仕置きをしないと。すぐ練習します」。その強い口調が、晴れ舞台までの道が険しいことを表していた。

