<高校野球西東京大会>◇30日◇決勝

 兄弟校対決は日大三が猛打で日大二を圧倒、25安打で19点を奪い、19-2で4年ぶり13度目の甲子園切符をつかんだ。

 兄弟校が相手でも容赦はなかった。日大三打線が前日(29日)同じ神宮で24点を奪った帝京(東東京)に負けじとばかりに大爆発した。4番・吉田裕太捕手(3年)が初回1死一、二塁からいきなり左翼席に強烈な1発をたたきこむ。「今まで生きてきた中で最高」と言い切った先制3ランだった。

 主将がいきなり左手を高く突き上げ、ダイヤモンドを駆け巡る。ベンチの小倉全由監督(52)も、関谷亮太投手(3年)も「あれで楽になった」と口をそろえた。2回に2点を加えると3回には死球をきっかけに打席に入った打者が次々とホームにかえってくる。無死のまま、4四死球をはさんで6連続安打、9連続得点となっていた。

 試合終了が告げられ、吉田がマウンドの関谷に抱きついた。「準決勝が終わってから、ずっと頭の中に描いていた光景」(関谷)が現実となった。このとき、スコアボードは先発全員安打の25安打19得点を記録していた。吉田はあと三塁打が出ればサイクルヒットだった。「少し意識したけど勝ったことが一番」と主将らしいセリフを吐いた。

 ナインは前日、神奈川大会決勝を寮のテレビで観戦した。そこにはピンチでも笑顔を見せる横浜隼人ナインの姿があった。小倉監督は「初めて甲子園に行ったときの気持ちを思い出した。いい顔をして自分たちの野球をやろう」。選手に何度も話した。その言葉どおりにバットを振った。

 常に優勝候補といわれる強豪が、学校創立80周年の年に4年ぶりの甲子園をつかんだ。吉田は「打って行く三高野球をやりたい」。晴れ舞台でも強打の日大三野球を見せるつもりだ。